教職経験者だから光村図書出版は馴染みがある。若い頃は所属していた研究会で多少関わったし、民間研修会の場でも勤めている方と何度か親しく話させていただいた記憶もある。雑誌『飛ぶ教室』は知ってはいたが、それほど興味は持てなかった。図書館に勤めて、絵本絡みで数冊手にしていた程度と言ってよい。
それが何のはずみか(お気に入りの著者検索をして中古本注文する時に目に付いた)2冊ほどバックナンバーを買い求めてみた。ケストナーの小説名から題を冠した「児童文学」誌で、対象は小学校高学年以上とされているようだが、実際は、児童生徒よりそのジャンルの愛好者が購読するのではないかと思える。
正直、児童文学への興味は高くない。それでも多彩な作家が童話からYAと称される作品まで並んでいて、つまみ食い的に読むのも一興である。「定点絵日記」といういしいしんじ、金井真紀のミニエッセイには挑戦の視点が見えて楽しい。また「BOOKS」(新刊紹介)が、絵本、児童書、YA、大人の区分で充実している。
「言葉のちから」と題して哲学者の若松英輔が連載していた。副題が「十歳の君へ、八通の手紙」となっている。しかしその内容は十歳程度ではなく、中高生でようやくというレベルだと感じた。歯ごたえのある文章で、ぜひ教育現場の方々に読んでほしい…と。言葉によって言葉以外の力を知り、言葉で伝える意味。
初め手にした70号は特集名「前編」で、短編・掌編が4作品載っていた。読んでしまうと気になるし、つい続きの71号を購入する。さらに、上記の若松連載も最初から読みたくなり、68号まで探す。なんとそれは創刊40周年記念でインタビューは谷川俊太郎の号だった。なんとなく空にある教室へ向かう気分だ。
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