(UGO 冬晴れ近景 そうだったか! 2017.12.21③)
歳末という雰囲気が漂ってきたなかで、積読した本をそろそろ読まねばと、手当たり次第の乱読だ。片っ端から片づけて、締め括りにはぐっとくる一冊を読みたいなあ。
2017読了127
『ボトルネック』(米澤穂信 新潮文庫)
ボトルネックと言えばなんといってもギター奏法。下手だった自分には憧れだったなあ、と書名とは関係ない思い出が浮かぶ。さてここでの意味はいわゆる、障害や隘路ということ。パラレルワールドを取り上げた構成なのだが、正直少し入り込みづらかった。たぶん主人公の「痛み」が感じ取れなかったのだと思う。ただ、舞台の一つに今年訪れた金沢市があり、風景でも親近感はわくものだと改めて感じた。心に描く造形を記憶に頼っているので、だらしない読み方だ。
2017読了128
『この世で一番の奇跡』(オグ・マンディーノ PHP文庫)
自己啓発、成功哲学といった類の本と言っていい。久しぶりに読んだ気がする。設定は、短い外国映画を観ている感じで心地よかった。この手の物語では、いかに聖書や文学等に通じているかが面白く読めるポイントになるかもしれない。しかし、信仰心も薄い自分であってもそれなりに理解できた気になっているのは、最近感じる「大切なもののありか」に共通性を見出しているからだ。街角から廃品や不用品等を漁るラグピッカーという仕事の象徴性をみる思いがした。
2017読了129
『にょにょっ記』(穂村弘 文春文庫)
大好きな「ほむほむ」のエッセイ。前作を読んだのはもう9年前だ。その時のメモによると、内容は「言葉の観察」「ヒトの観察」「自分の観察」に類別されている。基本的にそこは変わらない。観察は一種妄想モード。そこに惹かれてつい買ってしまう。もちろん何の役にも立たない。その役立たなさこそ創造の源ではないか。例えば「苺大福を食べながら、苺大福を知らないひとごっこをする」。これは単なる落書きではない。そのために必要な事を君はいくつ数えられるか。