すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

発音してこそ初めて自分のことば

2009年05月07日 | 読書
 NHKで「先生のためのことばセミナー」という研修会があり、一度は参加したい思っていたのだが、残念ながらその機会はなかった。その講師をしている方が本を発刊したので、読んでみた。

『先生にこそ磨いてほしい「ことばの伝達力」』(加藤昌男著 NHK出版)

 「教室で役立つ30のヒント」と副題が添えられているように言葉遣いや話し方についてのアイデアや提言がまとめられていた。目新しいポイントはさほど多かったわけではないが、さすがアナウンサー経験者ならではの切り口ということもいくつかあり、はっとさせられた部分もあった。

 生まれてこのかた一度も発音したことのない語句

 ことばのウォーミングアップの章で「朝刊のコラムを声に出して読む」という項があった。私自身、毎日、新聞のコラムを目にはしているがもちろん声に出しているわけではない。難語句も確かに目に刷ることはあるのだが、それに対しては文脈で想像できる範囲だったし、取り立てて考えたり驚いたりすることはなかった。

 しかし、それを声に出して読むことは違うとらえであると今さらながらに考えた。著者は毎日三つ程度はあるのではないかという。
 例えば、今朝の新聞コラムには「蔭位(おんい)」という今まで知らなかった言葉があった。もちろんそれを声に出したことはない。
 この場合はそれが何か深い意味を持つわけではないが、読むことによって少し立ち上がってくる気配も確かにある。

 物語や詩に限らず、様々な論考であっても「音のことば」にすることによってより強く、深く感じられる…そのことは何度も言ったり書いたりしているのだが、自分が実践できていない、つまり磨いていないということを今さらながらに反省させられる。