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しゅぷりったあえこお nano

ブログ版 シュプリッターエコー

オーパス・ワン/大阪倶楽部(淀屋橋)

2007-02-24 01:45:05 | 音楽
武満徹の音楽を端的に評して
「タケミツ・トーン」という言葉が浸透しているが、
この音楽会では「ウ゛ィラ=ロボス・トーン」が
発光するように聴かれた。
ウ゛ァイオリン・大谷玲子、ウ゛ィオラ・安藤裕子、
チェロ・林裕からなるトリオ「オーパス・ワン」は
ウ゛ィラ=ロボス、ドホナーニ、シューベルトの
いずれも異なる色合いのプログラミング。

特にウ゛ィラ=ロボスとドホナーニが出色。
ウ゛ィラ=ロボス「弦楽三重奏曲」は不思議な楽曲。
1945年作だが目立つ特殊奏法も完全無調でもない。
しかし独特な和声進行、美しくも不可思議でもある旋律、
独創的なオーケストレーションと枚挙にいとまがない。
まず楽曲に引き込まれたと同時に
極私的だが「ファン」になってしまった。
オーパス・ワンもウ゛ィラ=ロボスが一番しっくりときた熱演。

ドホナーニはバルトーク・コダーイと同時期の作曲家。
ピアニスト、指揮者としても活躍したという。
現代指揮者界の巨匠・
クリストフ・フォン・ドホナーニは孫になる。
バルトークらと時代を共にしたが
その作風はロマン主義風でブラームスなども思わせる。
しかし時代錯誤な訳ではなく綿密な書法、
そして意図して使っている訳ではないだろうが
やはりハンガリーの薫りなのだ。

ハンガリーのプスタ(草原)の風にのった草の匂い、
小麦畑を抜けるように走る騎馬たちの疾風が
肌を撫でる感触。
会場が草原になった瞬間がそこには確かにあった。
オーパス・ワンの演奏もロマン主義風とハンガリー風を
バランスよくかもしだしていた。

大谷の力のこもったソロ、
安藤のウ゛ィラ=ロボスでの印象的なソロもよかったが、
その根底にある林の支え役的でもあり、
繊細なソリスティックな演奏は特筆に値する。







クラウス・ペーター・フロール指揮/大阪フィル第405回定期

2007-02-23 00:26:29 | 音楽
クラウス・ペーター・フロールのチャイコフスキーは
やはりロシアオケのそれとは明らかに色合いが異なった。
パワフルかつ優雅というよりも
地鳴りを起こそうとする荘厳さと
決して均整を崩さない旋律。

グローバルなこの時世、
マエストロがドイツ人だからという
因果論を語るのは時代錯誤かも知れない。

しかしやはり「血」はあるのだろうか?
やはりマエストロのドイツ人の「血」が
このような演奏を産むのだろうか?

私はそもそも「正統ドイツ派」だの
「フランス人のエスプリ」だの言った
うたい文句は好きではない。
民族より個人の音楽性こそが
音楽性において重要だと考えるからだ。
でないと日本人は永遠に西洋音楽なんてできやしない。
でもやはりマエストロのドイツ人としての
「血」として以外この演奏は解釈出来ない。
大フィルも精一杯応えていたが
地鳴りまでは行かず、強震程度か。
モーツァルトは昨年特に40番は散々聴いたが近年で一番。
マエストロの解釈は短調ほか調性を強く意識した解釈で
堅固な音響のもとの調性の変化がよく伝わった。

(曲目)
モーツァルト:交響曲第40番
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
※音楽監督大植英次が怪我で降板のための代演。
 プログラムもマーラー「交響曲第9番」から変更





NHKのど自慢体験記

2007-02-14 23:26:15 | 音楽
地元で国民的番組「NHKのどのど自慢」があった。
私の父がウン十年これを見ていて大ファン。
早速観覧希望のハガキを送った。

次に出演だが、始めうちの家族は全員出るというので
私がわざわざ人数分往復ハガキを買ってきた。
のに、ふたを開けたら私しか申し込んでなかった。
だまされたのかもしれない…
なので、今度はシュプリッターエコーメンバーで
出場しませんか(笑)
3月に三田市であるそうです。

幸いにもハガキは通過して予選会に出られることとなった。
知人から聞いたのだがハガキの時点で
競争率10倍らしい。
その意味ではラッキー。

日曜昼の放送の前日に予選会が開かれる。
本番と同じ会場だ。
最近は深夜に予選会も放送するらしく
カメラはもとより司会の宮本さんもいたし、
予選会番組用の収録もあった。

予選会参加は250組!
その中から日曜の本選に出場出来るのは20組!
超激戦だ。
私の番号は「58番」。
これは歌う曲の五十音順で決められる。

12:45分予選会開始。
始めにディレクター氏からの注意事項を聞く。
そして拍手の練習、これが長い…

私は250番の中の58番なので
比較的早く順番が回ってきた。
待機しているとステージに見た顔が?
知人の写真屋のにいちゃんだった。
「奇跡の地球」歌ってた。

さあ、私の歌った歌ですが、
私の十八番の一つ、
上田正樹の「悲しい色やね」。
幸い他に同じ歌の人はいなかった。

不思議と緊張はしなかった。
むしろ2000席のホールで
絶唱出来て気持ちよかったくらい。
バックも本番と同じバンドさん。
ほんの30秒ほどだったけど
これはいい経験だった。

自分の番が終わったが結果発表は6時過ぎ。
ホールの中をうろついてた。
いやー、いろんな人がいますな。
袴でばっちり演歌歌手になった人、
トイレでひたすら練習している人、
踊りの練習してる人達、
老人介護施設からの参加と思われるが
ヘルパーさんの意思とは無縁に
車椅子のお年寄りが歌わなくて
いつの間にかヘルパーさんの歌になってる人。

予選全部を見た訳ではないので断言できないが
一番沢山歌われていたのは「三日月」(これでいい?)。
絢香とかいう若者の歌らしい。
5人くらい歌っていた。

6時過ぎ結果発表。
何と選ばれた20組のうち2組が会場にいなかった!!
1組は過去にあったが2組は前代未聞とか。
で、繰り上げ当選が。ラッキーですね。

選ばれた人を見ると、必ずしも上手い人ばかりではない。
いやもっと上手い人がいたが落ちていた。
またパフォーマンスが派手だから受かるものでもない。
凄いパフォーマンスの人がいたが落ちてた。
当然私は落ちました。

ここで私なりに「のど自慢必勝法」を。
1.1人より複数の方が選ばれやすい(TV映えするから?)
2.家族とか親子とか職場の同僚とかだとなおいい。
3.その時のゲストの歌を歌う、
  これはみんな同じこと考えて歌うが
  「ゲスト歌枠」ゆうのは確実に存在するから
  全体の競争率からすれば倍率は低い。

それでもなかなか本選は遠いですね。

まあ、いい経験が出来た。
今度は何の曲で出ようかな(マジ??)


アコースティックナイトinCOSMO

2007-01-22 07:19:40 | 音楽
『太田裕美は稀代のシンガーソングライターだ!!』
と改めて思った夜だった。

今回のライヴは太田裕美・伊勢正三(元「風」「かぐや姫」)・
大野真澄(元「ガロ」)の3人による
「懐かしの青春ヒットメドレー」的。
たまたま私の家の隣町であったので
太田裕美大ファンに加えて、正やんに大野さんとくれば
行くっきゃない。

年齢層メチャ高い。私は若い方(精神年齢が老けてる?)。

構成は3人→大野・伊勢→大野ソロ→太田ソロ→太田・伊勢
→伊勢ソロ→3人でヒット曲ゆう感じ。

一番カンゲキは後半の3人で歌う「なごり雪」
(オリジナルアレンジ)
この歌を作った正やんに太田裕美と大野真澄との
コーラスが最高だった。

名曲はやっぱり名曲だった。

クラリネットとサクソフォンによるWinter Concert/滋賀県立芸術劇場「びわ湖ホール(小ホール)」

2007-01-13 00:41:05 | 音楽
まだ荒削りだが未来を予感させる
新進気鋭の演奏家の演奏は
当然多少の不満はあるものの、
なかなか収穫多い音楽会だった。

クラリネット・八段(はったん)悠子と
サクソフォン・千葉雅世が
クラシックからミュージカルナンバーまでをプログラミング。
クラシック専門ながら若い感覚の息吹も伝わる
考えられたプログラムだ。

八段と千葉は対照的な演奏家だ。
八段は堅固な基本技能に裏付けられた端正な演奏、
千葉は歌心にたけた感性にしみ入る演奏。

しかしソロではそうだが、
アンサンブルとなると、
シングルリード系木管楽器が持つ
特有の音が重なり合って豊穣な響きが劇場に鳴り渡る。
それはムソルグスキー『展覧会の絵』の「キエフの大門」で
頂点に達した。
クラリネットとサクソフォンと
ピアノから放たれる堂々たる音響。

今まで八段と千葉のことばかり書いたが
ピアノも特筆に値する。
池田弥生のカッチーニ「アウ゛ェ・マリア」での
千葉とのデュオでは繊細な音色が楽しめた。
もう一人のピアノ・仲香織もよく健闘。
加えてベーゼンドルファー社のピアノが
穏やかで落ち着いた柔らかな音であったことも
演奏に素晴らしい華を持たせた。


八段の
サン=サーンス「クラリネットとピアノのためのソナタ」は、
ケアレスミスはあったが、
全体に安定したブレス・コントロールと
それに裏付けられたフィンガリングや
タンギングの技術は非常に良かった。
また低音域の響きが非常に豊かで、
それは安定した高音域、
ムラのない低音域から高音域への
美しいスケールへも当然派生していた。

千葉の
『展覧会の絵』の「プロムナード」のアルト・サクソフォン、
「古城」のバリトン・サクソフォンのソロは
タンギングの不具合などはあったものの、
千葉の魅力を非常に表出した演奏。
また千葉の歌心ある表現は、
ややモダンな旋律に向いている感覚を
持ったのは私だけだろうか?

同じ滋賀県立石山高等学校音楽科出身の二人の息は
テクニックではなく、
信頼と友情で心よく合っていた。
それは『展覧会の絵』の「殻をつけた雛鳥の踊り」での
千葉の可愛らしいぬいぐるみを使ったパフォーマンス、
アンコールのポケット・サクソフォンのデュオによる
ご愛敬の演奏、
そして最後の寺嶋民哉『ゲド戦記・テルーの唄』の
温かさに顕著ににじみ出ていた
(この曲を一瞬、海援隊「思えば遠くへ来たもんだ」かと
思ったのは私だけだろうか(笑))。

まだまだ演奏家としての課題は山積みな八段と千葉だが、
これを契機により高い次元での勉強と演奏活動を
期待したく、また期待させる音楽会だった。


【データ】
2007年1月13日(土)18:30開演
滋賀県立芸術劇場「びわ湖ホール(小ホール)」

[プログラム]
○W.Aモーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』より
        「恋とはどんなものかしら」
 クラリネット+サクソフォン
○C.サン=サーンス:クラリネットとピアノのためのソナタ
 クラリネット+ピアノ
○P.ボノー:カプリス
 無伴奏テナー・サクソフォン
  (休憩)
○A.ロイド・ウェーバー:『オペラ座の怪人』より
 「THE PHANTOM OF THE OPERA」
 「THE MUSIC OF THE NIGHT」
 「ALL I ASK YOU」
 「MASQUERADE」
 クラリネット+サクソフォン+ピアノ
○E.ジョン:『ライオンキング』より
 「愛を感じて」
 クラリネット+ピアノ
○G.カッチーニ:アヴェ・マリア
 アルト・サクソフォン+ピアノ
○M.ムソルグスキー(長生淳編):『展覧会の絵』より
 「プロムナード」
 「こびと」
 「古城」
 「テュイルリー(遊んだ後の口げんが」
 「ビドロ」
 「殻をつけた雛鳥の踊り」 
 「キエフの大門」
 クラリネット+アルト・サクソフォン/バリトン・サクソフォン
 +ピアノ
 
(アンコール)
○エーデルワイス
 ポケット・サクソフォンのデュオ
○寺嶋民哉:映画『ゲド戦記』より「テルーの唄」
 クラリネット+アルト・サクソフォン

[出演者紹介]
■千葉雅世(サクソフォーン)
 滋賀県立石山高校音楽科→大阪音大卒
 第9回KOBE国際学生コンクール優秀賞
 陣内亜紀子、篠原康浩、小村由美子各氏に師事
■八段(はったん)悠子(クラリネット)
 滋賀県立石山高校音楽科→京都市立芸大卒
 音楽学部賞受賞
 第21回日本管打楽器コンクール第1位
 梅田俊明指揮/東京交響楽団と
 モーツァルト「クラリネット協奏曲」共演
 山川すみ男、高橋知己各氏に師事
■池田弥生(ピアノ)
 大阪音大・同専攻科修了
 堺ピアノコンクール奨励賞
 ウィーンにて
 インゴマー・ライナー、アボ・コーユーミジャン氏の
 レッスン受講
 伊藤勝氏に師事
 神戸音楽家協会会員
■仲香織(ピアノ)
 兵庫県立西宮高校音楽科→京都市立芸大・同大学院修了
 第3回堺国際ピアノコンクール一般部門第3位
 第15回京都芸術祭京都市長賞受賞
 2004年ソロリサイタル開催




野平一郎特別演奏会(吹田メイシアター)

2007-01-11 23:23:25 | 音楽
現代音楽の音楽会で、初めて涙がにじみ出てきて、
泣きそうになった。

   「美」に対する畏敬の涙。

今日の野平一郎のピアノは不協和音はもとより、
汚れているもの、壊れているものさえも美しかった。

   「澄みきった夜空の、星々のまたたき」

野平の演奏を一言で形容するならばこう言えよう。
劇場は宇宙となり、ビッグバンを起こした
まだ星にもならない塵たちがピアノから放散される。

しかし塵たちはすぐに様々な色や形の星となって、
劇場という宇宙に散らばっていく。
そしてある曲の最後の星は彗星となって、
劇場を突き抜けて行った。
   
     何処へ?


えらく情緒的な文章になりすぎた。
もう少し客観的(主観的?)な文章を。

この音楽会の正式な名称は長い(笑)
『[実験劇場パート18]
ニューイヤーコンサート 現代音楽の夕べ
野平一郎特別演奏会&
吹田音楽コンクール作曲部門受賞者記念演奏会』

前半は1990年から始まった吹田音楽コンクールの
歴代の1位受賞者の楽曲の演奏。
後半は審査委員の一人の野平一郎氏のピアノ独奏。

前半は5人の「新進気鋭」の作曲家の楽曲が続く。
  拷問…
念のため言っておくが、楽曲自体が著しく悪いわけではない。
誤解を恐れずに言うならば
特に気に入った楽曲は無かったが
日本の現代音楽の潮流の一端を感じることが出来て
意義のある体験だった。
また16回も続いているこのコンクールは素晴らしい。
加えて”ゲンダイオンガク”が
ニューイヤーコンサートであることも特筆に価する。

なぜ「拷問」?
それは『演奏家』である。
”ゲンダイオンガク”でもクラシック音楽の範疇に入る以上、
即興性や偶然性がある音楽でも
その基本は「再現音楽」である。
モダンジャズの全くの即興演奏とは違う。
『演奏家』の技術や音楽性が余りにも低すぎた。
楽曲をどれだけ「再現」出来ていたのかはなはだ疑問である。

演奏家に関しての唯一の収穫は
フランスのヴァイオリンの巨匠・ジュラール・ブーレ氏の
生演奏が聴けたことである。
しかし楽曲への不満と
悲しいかな、学ぶ点は多くあるが、
決して全盛期とは言えなくなったブーレ氏の演奏が
残念だった。


後半の野平さんの演奏は「タケミツへのオマージュ」を
テーマとしたプログラミング。
曲目のみ示しておく。
感想は冒頭に散々書いたので。

タケミツの最小限の紹介。
武満徹(たけみつとおる)。今年没後10年となる
日本を代表する作曲家。


武満徹/ピアノ・ディスタンス(1961)
野平一郎/間奏曲第1番「ある原風景」(1992)
野平一郎/間奏曲第2番「イン・メモリアムT」(1998)
リンドベルイ(フィンランド)/トゥワイン(1988)
ナッセン(イギリス)/祈りの鐘 素描 作品29(1997)
武満徹/閉じた眼Ⅱ(1988)


タケミツ以外は今も旺盛な活動をしていることを
付け足しておく。


歓びと努力

2007-01-07 00:25:36 | 音楽
舞台上には、カットソーやセーター、シャツなどを白に統一してこの日の衣装にした若き演奏者たちが並ぶ。無事演奏を終えた彼らの表情は自信に溢れ、カーテンコールにはそのかわいらしい笑顔を観客たちに向けていた。

お稽古ごとをはじめる時「誰に何を習うのか」はとても重要である。例えば一口に舞踊といってもバレエにはクラシックやモダンがあるし、他にも社交ダンス、フラメンコ、フラダンス…など素人の私が知っているだけでも多彩に教室が存在する。それに指導者との相性もあるのだから慎重に選ばなくてはならない。場合によっては習う前に嫌いになるというような不幸な出会いもありうるからだ。だから目的にあった教室を見付けるためには情報収集のための時間を惜しんではならない。とはいうものの手始めに何を基準に選べばいいのか…という方にはその教室の発表会を見学するのもひとつの方法だろうと思う。

昨年の12月10日。芦屋ラポルテホールにて第3回ブライスファンが開催された。主役はこのピアノ教室「ミュージックブライス」に通う子供たちだ。第一部ではピアノの連弾で「ジングルベル」や「きよしこの夜」などの定番曲を。そして第二部ではクリスマスを楽しみしている動物たちのお話「コーギビルのいちばん楽しい日」にのせてドラム、ベース、サックスをいれたカルテットでの演奏(以上、プログラム案内文より抜粋)が披露された。
このブライスファンは私がイメージしていた発表会とは全く違っていた。スクリーンに映し出された絵と司会者によるナレーションに合わせて、子供たちが(ピアノの単独演奏ではなく)プロのミュージシャンと共演するといった構成にも驚いたのだが、演奏者である子供たちも始めから終りまで観客として会を楽しんでいたのだ。なるほど、プログラムのあいさつ文にもこう書いてあった。

…ブライスファンは、私たちミュージックブライスがめざす「音楽を楽しむ力をつけてほしい」というコンセプトを形にしたミュージックパーティーです。…

そう、ミュージックパーティー。子供たちはいままでの練習成果を披露すると同時に演奏を聴くことも楽しんでいたのである。あとで指導者にお話を伺うと、こうおっしゃっていた。
「会で子供たちが演奏した曲はこれまでの会で演奏された曲のどれとも重複していません。だから子供たちは、この曲は前にわたしが弾いた曲だわ、ということがないのです。」
だから彼らは初めて聴く演奏に興味津々だったのだ。
しかし、ということはあれである。指導者は、会の構成を考えると同時に子供ひとりひとりのレベルに合わせて何十曲、何百曲と演奏する曲の候補を考え、さらに演奏に適した楽譜も探してらしたということだ。それはとても多くの時間と手間を必要とする作業に違いない。楽しそうに笑って私に話してくださったお顔からはそんな苦労は少しも感じられなかった。

指導者が自ら努力を惜しまないこの教室なら生徒たちも音楽を楽しむための何かを学ぶに違いない、そう思った。

沼尻竜典(指揮)・川田知子(ウ゛ァイオリン)/大阪フィルハーモニー交響楽団八尾演奏会

2006-12-21 22:04:36 | 音楽
今回は少々辛口。
オール・モーツァルトプログラム。
1曲目は歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」序曲K.588。「流した」お仕事演奏。モーツァルトで絶対的に重要な役割を果たすオーボエ、ファゴットのダブルリード群が犯罪的なミス!「コジ」のオペラ全体で重要なメロディを奏でるのだが指は回ってない、レガートがかかってない、楽器間の受け渡しはブツ切れ。
 
2曲目はウ゛ァイオリン協奏曲イ長調第5番K.219「トルコ風」。ソリストは2006年9月に行われた神戸国際芸術祭2006で艶と響きと上質な米を土釜で炊いたかのような絶妙な柔らかさと硬さを持ち合わせ音色の川田知子。
第1楽章こそは川田も暖まっていなかったが、
第2,3楽章と進むにつれ、素晴らしい音色と
端正な音楽性を発揮した。良質な演奏だった。
 
休憩をはさんで、3曲目はディヴェルティメントニ長調K.136
この曲の第2楽章はアンダンテなのだが、
なかなか絶妙なテンポのアンダンテに巡り会えない。
小澤/サイトウ・キネンoの録音も極端に遅い。
アンダンテとは「歩く速さで」ということだ。
沼尻のテンポ設定もやや私には冗長に感じられた。

最後は交響曲第41番ハ長調「ジュピター」k.551
言わずと知れたモーツァルト最後の交響曲。
沼尻のアプローチは細部にこだわるというより
全体の流れと揺らぎを重視した演奏。
こういう解釈もあるのかと思った。
私はモーツァルトはもっと綿密な演奏が好きだが
これは好みの問題だろう。
ただ沼尻の志向する大きな揺らぎのある
モーツァルトにするには
やや編成が小さい。
1stヴァイオリンが5プルトでコントラバスは1.5プルト。
別に古楽器奏法を意識している訳ではなさそうだったから
もっと大きな編成でもよかったのではと思う、
現代のモーツァルト演奏として。

あと不満はホール。
八尾市文化会館は響きがデッド。

一番不満は大フィル。
もっと艶のある粒の立った響く音が出ないのか?
お米に例えれば土釜で炊いた艶があり
米粒一つ一つが立ったご飯でなく、
水が多すぎてべっとりした感じ。
潜在的な力はあるはずだから
もっと音質・音色にこだわって欲しい。

ラフマニノフとドラマ

2006-11-24 16:34:08 | 音楽
ドラマ「のだめカンタービレ」で一躍お茶の間で有名になったラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。でもラフマニノフの曲がお茶の間レベルで有名になったのは今に始まったことではないのです。例えば交響曲第2番第3楽章は1994年のドラマ「妹よ」(和久井映見・唐沢寿明)でも唐沢が好きなこの曲を和久井がレコード店で必死に探すというシーンもありました。また「ウ゛ォカリーズ」という美しい小品はCMでも。ところで「のだめ」で実際演奏しているオケ(東京都交響楽団?)とピアノと指揮は誰なのでしょうかね?

野平一郎/神戸市室内合奏団

2006-11-22 10:22:43 | 音楽
音楽家・野平一郎の近年の活動には目を見張る。この日も野平は指揮・ピアノ・自作自演と作曲家・ピアニスト・指揮者として八面六臂の活躍。野平の音楽の特長は二つ。一つは楽譜(作曲家の意図)に忠実な再現。例えば緩徐楽章ではテンポを正確に使い分ける。もう一つは楽団の力を普段以上に引き上げること。この日の神戸市室内合奏団の演奏はやや硬い普段のサウンドが柔らかく高音部から低音部のバランスも適切でアンサンブルも綿密とよい仕上がり。楽団の力も大きいがここまで引き上げた野平の力と楽団の良好な関係が隙間見える演奏だった。
【データ】
神戸市室内合奏団 定期演奏会
2006年10月15日(日)14:00 開演
指揮・ピアノ独奏 :野平 一郎
「音楽は時代を超えて ~4世紀にわたるプログラム
 受け継いできたもの、そして伝えゆくもの~」
野平 一郎 :彷徨する空間IV
W.A.モーツァルト :ピアノ協奏曲第27番変ロ長調KV595
I.F.ストラヴィンスキー :ダンバートン・オークス協奏曲変ホ長調
F.シューベルト :交響曲第5番変ロ長調D.485