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ブログ版 シュプリッターエコー

旗谷吉員展 美術史絵画

2020-10-19 01:34:00 | 美術
神戸・新長田のcity gallery 2320で旗谷吉員さんの個展「美術史絵画」が開催されています(2020年10月10日~10月25日)。



ボッティチェリ、クラーナハ、クールベ……ルネサンスから近代まで、西洋美術史上の名画を題材に、油彩そしてコラージュで描かれる≪創造的模写≫。



写真右はクラーナハ(父)「アダムとイヴ」の油彩による「模写」、左はやはりクラーナハの別の「アダムとイヴ」を題材としたコラージュ作品。
このポルノ雑誌を使ったコラージュを前に感じる胸躍る楽しさは何でしょう。ここには興味本位のエロティシズムには収まらない創造性あるいはオリジナリティをめぐる本質的な問いかけがあるようです。



そして今度の作品展の会場には、オトナ向け特別展示室「ピカソのエロス部屋」も…!(子供さんもスイスイ入っていましたが)。



会期は10月25日まで。水・木・金 休廊。
city gallery 2320のホームページはhttp://www.citygallery2320.com/WW/product.topnews.html

(takashi.y)


トラウマ展 みてないことへの寄り道

2020-10-05 00:59:00 | 美術
先日、美術家の高濱浩子さんがファシリテーターを務める「トラウマ展 みてないことへの寄り道」を西宮市のアクタ西宮でみました(東館2階中央ひろば、9/19~22)。



「“こころの体験”をアートで表現してみませんか」と障がい者福祉施設や保健所などで呼びかけ、2019年から9回のワークショップを開催。そこで参加者に自由に描いてもらったという絵が展示されていました。

虐待、あるいはより広く「マルトリートメント」(不適切な養育)の記憶、友人との死別など、子供の頃に受けた心の傷が投影された絵が多く並びます。
発達障がいや精神疾患による生きづらさ、精神科病棟での辛い体験を描いた絵も。

一枚一枚の絵に説明や自己紹介が付されていて、人生にはこんなにも多くの種類の悲しみがあるものかと改めて感じさせられます。
そして、降りかかったその悲しみがただの「一種類」であっても、はかり知れない傷の深さがその人を一生涯とらえてはなさないということがあります。



ですが、そうしてワークショップを通じて2枚目、3枚目と描くうちに明るいトーンの絵に変わっていく人がいるようでした。
また、高濱さんと会場で少しお話ができたのですが、「とても重たい展覧会です」と正直に感想をお伝えすると、「でもね、ピカピカの額に入れてもらって、皆さんにも見てもらえて、次の一歩へ踏み出せそうですと話している参加者の方もいるんですよ」と。

それはすばらしい話だなと思ってうかがっていたのですが、実は展覧会をみながらいちばん気がかりに感じていたのは、自分がこんな心の傷を他人に負わせてはいないだろうかということです。
そして後日、この展覧会をみた知人から、母親としてやはり同じことを考えたという感想を聞きました。
確かに、トラウマを与える可能性にはたらきかけるという意味でも、意義深い展覧会であるのでしょう。

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展覧会の主催は「こころアート表現★プロジェクト」。オイゲン・コウ博士(オーストラリア)の活動に着想を得た武庫川女子大学の大岡由佳准教授の呼びかけではじまったプロジェクトです。

第2回展示が12月に予定されています。
大本山 須磨寺 護摩堂 2020年12月4日(金)~7日(月) 10時~15時

トラウマ展のホームページ
https://www.jtraumainformed-tic.com/

(takashi.y)