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 本は私の人生の友・・・

『青瓜(あおうり)不動』

2023年07月31日 | 

~ 三島屋変調百物語九之続 ~

著者 宮部 みゆき

 

行く当てのない女たちのため土から生まれた不動明王(『青瓜不動』)

悲劇に見舞われた少女の執念が生んだ、家族を守る人形(『だんだん人形』)

描きたいものを自在に描かせてくれる不思議な筆と その代償(『自在の筆』)

人ならざる者たちの里で育った男が語る故郷の物語(『針雨の里』)

恐ろしくも暖かい百物語です。

 

>江戸は神田三島町にある袋物屋の三島屋は、「黒白(こくびゃく)の間」という客間に人を招いて、風変わりな百物語を続けている。

一度に招く語り手は一人だけ。向き合う聞き手も一人で、語られる話は一つ。夜の闇にこだわらず、蠟燭を灯したり消したりの趣向もない。

「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」

語り手は語って思い出の荷を下ろし、聞き手は、受け取った荷を黒白の間の限りに収めて二度と口にしない。

 

>人は誰でも、一生に一つの物語を綴りながら生きている。時にはそれを語りたくなる。

幸福の儚(はかな)さを、情愛の美しさを、失われてゆく魂の尊さを、全てを焼き尽くしても

なお燻(くすぶ)って残る憎悪のしぶとさを、許し合う心の豊かさを。

それらを聞き取るためにこそ、三島屋の変わり百物語は続いてゆく。

 

宮部みゆきさんの本には根底に心の優しさがあり、大好きです。

 

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『可 燃 物』

2023年07月29日 | 

著者 米澤 穂信

 

余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にも良い上司とは思われていない。

しかし、捜査能力は卓越している。葛(かつら)警部だけに見えている世界がある。

群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。

連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、

葛警部の鮮やかな推理が光る5編。

 

私の郷里が舞台なので、群馬県内の各所で起こる事件の場所を

ある程度 想像しながら読めて面白かったです。

 

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映画『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』

2023年07月27日 | 映画

 

ヨーゼフは久々に再会した妻とともに、ロッテルダム港からアメリカへと向かう豪華客船に乗る。

かつてウィーンで公証人の仕事をしていた彼は、オーストリアを併合したナチスドイツに

貴族の資産の預金番号を教えるよう迫られるも拒絶し、ホテルに監禁された過去があった。

豪華客船ではチェス大会が開かれ、世界王者が乗客全員を相手に戦っていた。

世界王者と船のオーナーの対戦の際、オーナーにアドバイスして引き分けに持ち込んだヨーゼフは、

自ら王者と一騎打ちをすることになる。ヨーゼフのチェスの強さには、ある悲しい理由があった。

 

今は将棋の「観る将」ですがチェスにも興味があり、タイトルに惹かれて映画を観に行きました。

でも「ナチスに仕掛けた」訳ではなく、偶然 内緒で手に入れたチェスの本で、

拷問により精神崩壊するのを回避しようとしていただけで、結局、精神は崩壊されてしまった⁇

主演のオリバー・マスッチの変わって行く姿の演技が見事でした。

 

NHKTV日曜日午後11時からの『アストリッドとラファエル 文書係の事件簿』を観るのが楽しみ。

推理ドラマ、大好き! フランスが舞台で女性二人のコンビがユニーク。

 

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『獣 の 夜』

2023年07月25日 | 

著者 森 絵都

 

原因不明の歯痛に悩む私が訪れた不思議な歯医者(『太陽』)

女ともだちをサプライズパーティに連れ出す予定が……(『獣の夜』)

短編の名手である著者が、日常がぐらりと揺らぐ瞬間を、ときにつややかに

ときにユーモラスにつづった短編集。

 

>「一つ約束してください。自分の問題と他人のそれとを比べて卑下したりしないと」

「卑下?」 

「このコロナ禍での顕著な傾向です。どんなに自分が困っていても、

もっと困っている人がいるからと、人と見比べて自分自身の問題を貶(おとし)めてしまう。

結果、愚痴のひとつも ろくにこぼせず、皆がますます追いつめられています」

(『雨の中で踊る』より)

 

短編集の表題となった『獣の夜』は、怖そうな題名だと思いましたが、

ジビエ料理に使う「獣」でした~

 


映画『ミッション:インポッシブル』

2023年07月23日 | 映画

〜デッドレコニング PART ONE〜

主演 トム・クルーズ

 

IMFのエージェント、イーサン・ハントに、新たなミッションが課される。

それは、全人類を脅かす新兵器を悪の手に渡る前に見つけ出すというものだった。

しかし、そんなイーサンに、IMF所属以前の彼の過去を知る ある男が迫り、

世界各地で命を懸けた攻防を繰り広げることになる。

今回のミッションは いかなる犠牲を払ってでも達成せねばならず、

イーサンは仲間のためにも決断を迫られることになる。

 

タイトルの「デッドレコニング(Dead Reckoning)」は「推測航法」の意味で、

航行した経路や進んだ距離、起点、偏流などから過去や現在の位置を推定し、

その位置情報をもとにして行う航法のことを指します。

 

シリーズを通して数々の命懸けのスタントをこなしてきたトム・クルーズは、

今作ではノルウェーの山々に囲まれた断崖絶壁からバイクで空中にダイブするアクションシーンを披露。

壮大なアラビア砂漠から最新・最大の威容を誇るアブダビの空港経由でローマ、ベネチア、

さらにはヨーロッパの山あり谷ありの自然の中を走り抜ける豪華列車へ。

上映時間3時間近くが短く感じられました~

 


『ジャパンタウン』

2023年07月21日 | 

著者 バリー・ランセット   訳者 白石 朗

 

サンフランシスコで古美術商と私立探偵を営むジム・ブローディのもとに、

市警の友人から一本の電話が入る。

ジャパンタウンというショッピングモールで日本人一家五人が惨殺される事件が起き、

日本で生まれ育ち、日本の事情に詳しいブローディに助言を求めたのだ。

現場には、謎の漢字一文字が記された血まみれの紙片が残されていた。

その漢字は、四年前 妻が住宅火災で亡くなった現場にあったものと同じだった。

今回の事件は妻の死と関係があるのだろうか?

漢字の謎を追っていくうちに、娘が事件に巻き込まれてしまう。

愛する娘を救うべく、ブローディは強大な日本の秘密組織に立ち向かっていくが、

そこには驚愕の真相が……。

 

講談社インターナショナルで25年間、多くのテーマに関する本の編集をされた著者は、

日本のことに詳しく、日本国内の描写も違和感なく読めました。

超長編で、読むのに数日を要しましたが、ワクワクハラハラしながら楽しめました~

 


今年初めてのセミ

2023年07月19日 | Weblog

昨日、小学生達の下校に出会い、「セミだ〜」と言う声を聞き、許可を得てスマホでパチリ……

セミは児童から離れ、近くには抜け殻も……

昨日からセミの鳴き声が聞こえてます。

「ボクはカミキリムシを持ってるよ」と言う児童のケースもパチリ……

 

早朝、蓮の花を見に行きましたが、チラホラと咲いていました……

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誕生日祝い

2023年07月17日 | Weblog

昨日、長男の誕生日を家族で祝いました。

鉄板焼きをいただきました……

ガーリックライスも美味しかったです😋

 


絵本『旅するわたしたち』

2023年07月15日 | 

~On the Move~

著者 ロマナ・ロマニーシン アンドリー・レシヴ

 

一歩、また一歩、わたしたちは何万年も旅してきた。

進化の過程による移動の歴史や、のりものの発明による手段の変化、

探検、戦争、避難、巡礼、刊行…様々な目的によって、海底から山のてっぺん、

空から宇宙まで、時に迷い、方向転換をし、歩んできた。

風や水は自由に境界を超え、動物たちは地図もコンパスもなしに移動する。

動くことにより、あたらしい世界をひらいてきたわたしたちの物語。

ウクライナの作家による、万物の移動を描いた絵本。

 

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『ある行旅(こうりょ)死亡人の物語』

2023年07月13日 | 

著者 武田惇志・伊藤亜衣(共同通信大阪社会部)

 

2020年4月。兵庫県尼崎市の とあるアパートで、女性が孤独死した。 

現金3400万円、星形マークのペンダント、数十枚の写真、珍しい姓を刻んだ印鑑……。   

記者二人が、残されたわずかな手がかりをもとに、身元調査に乗り出す。

舞台は尼崎から広島へ。たどり着いた地で記者たちが見つけた「千津子さん」の真実とは? 

「行旅死亡人」が本当の名前と半生を取り戻すまでを描いた圧倒的ノンフィクション。

 

「行旅死亡人」……

病気や行き倒れ、自殺等で亡くなり、名前や住所など身元が判明せず、

引き取り人不明の死者を表す法律用語。

行旅病人及行旅死亡人取扱法により、死亡場所を管轄する自治体が火葬。

死亡人の身体的特徴や発見時の状況、所持品などを官報に公告し、引き取り手を待つ。

 

>“死”という ゆるぎない事実の上に、かつて そこに確実に存在した生の輪郭を少しずつ拾い、結び、なぞること。

それは、誰もが一度きりしかない人生の、そのかけがえのなさに触れることだ。

路上で すれ違ったような、はたまた電車で隣り合ったような一人ひとりの人間の内にも、

それぞれの物語があり、それぞれの風景が広がっている。

 

とても興味深く、半日で読了……

記者お二人の取材姿勢に頭が下がりました _(._.)_