図書館へ行こう!

 本は私の人生の友・・・

『還るべき場所』

2008年06月30日 | 
著者 笹本稜平

恋人の命を奪ったK2。男は過去に立ち向かうため、この山へ還ってきた。
魂の糧を追い求める人々の感動の「山岳小説」

山岳小説は好きですね。
以前、大倉崇裕さんの『聖域』を読みましたが、著者は一度山岳小説を書いてみたかったそうです。楽しみに読みましたが、沢木耕太郎さんや笹本さんの方がはるかに心を打つものがありました。

「人間は夢を食って生きる動物だ。夢を見る力を失った人生は地獄だ。
夢はこの世界の不条理を忘れさせてくれる。夢はこの世界が生きるに値するものだと信じさせてくれる。
そうやって自分を騙しおおせて死んでいけたら、それで本望だとわたしは思っている」

「普段我々は、意識するとせざるにかかわらず、生まれてから死ぬまでの人生をあらかじめ敷かれたレールのように眺めている。あたかもそれが厳然と実在するもののように。
しかしそれは違う。真の人生は不可視だ。
それは生きてみることでしかかたちにできないなにかだ。
そしてそれこそが、この世界で生きることを喜びに変えてくれる糧(かて)なんだ」

チクセント・ミハイルの言葉を引用して、夫がよく言ってます・・・
「人間が幸福になるためには目標を持つことである。
しかし、目標が高すぎては人間は不安感に襲われてしまう。
また、目標が低すぎても良くない。目標が低すぎると、人間は不満を感じてしまう。
結局人間は、実力より少し高い目標をもって努力するとき一番幸福になれる」

今の私には、夢も目標も無く、だから元気が出ないのでは、と思いました。


仙台の慈眼寺住職の塩沼亮潤さんの『人生生涯小僧のこころ』では・・・

この世に縁あって生を受けたときには、すでに人生という旅ははじまっている。
スポーツの試合にたとえるならば、気がついたときにはすでに試合ははじまっていた。そして、その試合が終わると私たちは次の世に旅立たなければならない、というルールを審判から告げられる。生まれてきたものはいつか死んでゆく。それが定めである、と。
では、生まれてから死ぬまでの間に私たちは何をするべきか、そう審判に尋ねると、
「人生というのは、あなたの思いどおりにならないようにセッティングされています。それをどう克服するか、そこからどう感謝の気持ちを導いてくるか、これが試合の内容です」
試合の相手は誰ですかと問えば、
「それは自分自身です」


佐野洋子さんの『役にたたない日々』も面白かったです・・・

相変わらず辛らつに書いてますが、シャイな面もあるんですね。

佐野さんも知らなかったそうですが、私も知らなかった言葉のいわれ・・・
寛ぐ(くつろぐ)は、靴をぬぐという意味で、
くだらないは、百済(くだら)にないもののことだとか。

「息子に『モーガン・フリーマンっていつもいい人やるね』と云ったら、
『あいつが悪い奴やったら本当にこわいぜ、あいつはあの顔だからな』
あーそうですね」

佐野さんの文章は辛らつだけど面白い・・・
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映画『花はどこへいった』

2008年06月26日 | 映画
坂田雅子 監督・制作・撮影・編集

2003年、フォトジャーナリストだった夫のグレッグ・デイビスを肝臓がんで亡くした妻の坂田雅子は、米軍兵士としてベトナム戦争に送られた過去を持つ夫の死は、枯葉剤が原因ではないかと友人から聞かされる。
ドキュメンタリー映画制作の基礎を学んだ坂田は、自らカメラを手にベトナムとアメリカに渡り、取材を行なう決意をする。

岩波ホールにて上映中

ダイオキシンの被害を知るためにはベトナムほど研究条件がそろっている所はないが、アメリカはベトナムに近づこうともしない。それは、アメリカが撒いた枯葉剤の影響だということが証明されれば、補償問題につながるから。

若者たちはゲーム機で仮想の敵と戦っているが、現実の敵と戦わない。

人間は、いつになったら戦争の愚かさに気付くのだろう・・・

映画『西の魔女が死んだ』

2008年06月25日 | 映画
原作・梨木香歩

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変わるひと月あまりを、西の魔女のもとで過ごします。
西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けることに・・・
「魔女修行」とは、規則正しい生活や、正しい心を持つ修行。
まいは自然の中で祖母から生活の知恵を学んだり、「死」の不安を思ったりしますが、近くに住む粗暴な男性をまいが非難したことで、祖母と衝突してしまいます。

英国人の祖母役のサチ・パーカーは、適役でした。

ニシノマジョ カラ ヒガシノマジョ ヘ
オバアチャン ノ タマシイ、ダッシュツ、ダイセイコウ

2年後に亡くなった祖母からの伝言が、曇りガラスに記されていました。

小説は中篇といった長さでアッという間に読めてしまいますが、中身は深かったように思います。
心も大切だけれど、その入れ物である体も大切で、そのためには日々の生活も大切にすることなんでしょうね。


昔の映画館ではときどきあったかも知れませんが、今どき珍しいことがありました。
映画のちょうど真ん中あたりで上映がストップとなり、再び上映されるまで20分ほど待たされることに。
物語の中で唯一、事件らしい事件が起こった途端、画面が空白に・・・これは映画の中のヒトコマなのかな?と初めは思ったり。皆しばらくジッと待ってましたが、これはおかしいと、何人かが立って係員に知らせに行きました。
帰りに全員、映画の無料鑑賞券をもらったので、得をしたのかな・・・
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『あたり 魚信』

2008年06月23日 | 
著者 山本甲士

舞台はある地方都市。この地方には「奇跡を信じたければ、釣りをするがいい」という言い伝えが残っています。
魚の名前が題名となった6編のお話で、思いがけず釣りをすることになった主人公たちが、その面白さに目覚めると同時に、生きることに希望を持ち、人とのふれあいの大切さを再認識するといった「心が少しホッとする」物語が展開します。言い伝えは本当だったのか !?

釣りにも魚にも興味の無い私ですが、読んでみると面白く、心が温かくなりました。


相変わらず本を読む日々です。
面白くないのに読み続ける忍耐もないので、読了した本はみんなそれなりに面白かったということになります。
まぁまぁ面白かった、かなり面白かった、なんでもいいから本を1冊読むたびに感想を載せてみようかとも思うのですが、そんなマメさは私にはありませんし・・・
ということで、私のメモ代わりのようなものになってしまってますね。
この思いを伝えたい、誰かに聞いてほしい、というような本に出会えたら、思いのたけを投稿したいと思っておりますよ。


他に最近読んだ本は・・・

『2022年の影』 (赤井三尋)   『悪魔は天使の胸の中に』 (柴田哲孝)

『長い腕』 (川崎草志)      『静かな爆弾』 (吉田修一)  

『奇縁まんだら』 (瀬戸内寂聴  画・横尾忠則)

『マスカット・エレジー』 『人魚を食べた女』 (共に山崎洋子)  etc.
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映画『インディ・ジョーンズ』

2008年06月22日 | 映画
『インディ・ジョーンズ / クリスタル・スカルの王国』

先行ロードショーには行きませんでしたが、公開初日に見に行きました。
19年ぶり・・・待ってました~
そして見た感想は、まぁ、そんなもんでしょ・・・
面白かったですよ。深く考えず見るに限ります。
ハリソン・フォードは65歳には見えませんでしたよ。
第1作目の『スター・ウォーズ』で初めてハリソン・フォードを見てファンに・・・
『刑事ジョン・ブック 目撃者』のハリソン・フォードは特に好き。

奇想天外でも、『インディ・ジョーンズ』はそれでいいんです。

息子が登場・・・学校を中退したことを聞き、自分の息子であると知らなかったときは、中退したっていいんだ、などと言い、息子であると分かった途端、学校は卒業させる!と豹変。第三者の立場の意見は理想的で、実の親の心情はそんなもんです。
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講演会

2008年06月15日 | 講演会
山崎洋子さんの講演会に行って来ました。
第32回江戸川乱歩賞を『花園の迷宮』で受賞し、作家デビュー。
江戸川乱歩賞に3年間応募し続けたそうですが、東野圭吾もその頃の応募仲間だったとか。
大変な生い立ちを語ってくださいましたが、それに負けることなく生きて来られたのは本や映画のお蔭だったそうです。
人生は今のまま終わるわけではなく大逆転があるということを、本や映画から学んだそうです。

読書サークルが中心となった「墨田下町のつどい」は今回で第33回を数え、たくさんの作家や映画監督などの講演会を開催しています。
浅草の先の東向島までは電車を乗り継いで1時間半程かかりますが、私は今回で3度目の参加となりました。
東向島の駅前には「東武博物館」があり、東武鉄道の電車などを展示。
5分程歩くと「向島百花園」があり、前回までは時間がなく寄れませんでしたが、今日は家を早めに出て寄ることができました・・・

向島百花園にもカルガモの赤ちゃんがいましたよ



同じ池に錦鯉も

岡虎ノ尾(おかとらのお) と 蝶々

花菖蒲 「山紫水明」

海紅豆(かいこうず)

紫陽花 「墨田の花火」
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見つけました~

2008年06月13日 | Weblog
カルガモの親子、見つけました~
我が家からチョット離れた川にいましたよ。
偶然通りかかって目にすることができました。
遠くへ行ってしまって、今年はカルガモの赤ちゃんを見られないかと思っていました。
とっても可愛くて、見ていると心がほのぼのします。
悪い人間や動物に危害を加えられることのないよう、元気に育つように心から祈ってますよ。





アジサイの花の咲く季節となりましたね・・・



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『判事の家』

2008年06月12日 | 
著者 橘かがり

戦後最大の冤罪事件・松川事件で死刑を主張した判事の家が、その後たどった数奇な運命。 その判事を祖父に持つ著者による小説。
死刑を主張した判事は実在の人物で、松川事件と裁判に関する記述も事実に基づいていますが、ドラマチックな内容になっているのは小説=フィクションということのようです。

生きていると、胸の痛くなることが多いものです。
国内にも世界にも悲惨な出来事が次々と起こっており、運命といってしまえばそれまでですが、胸が痛くなります。
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映画『幻影師アイゼンハイム』

2008年06月09日 | 映画
19世紀末ウィーン。ハプスブルク帝国末期の芸術文化の都では、大掛かりな奇術=イリュージョンが一世を風靡していた。
中でも絶大な人気を誇っていたのは、アイゼンハイムという名の幻影師。
ある日彼は舞台の上で、幼なじみのソフィと再会する。
今では、皇太子の婚約者として注目を集める彼女は、その後ほどなく皇太子邸で謎の死を遂げてしまう。
謀殺の噂も沸き立つ一大スキャンダルのさ中、アイゼンハイムはソフィの幻影を蘇らせる前代未聞のイリュージョンを発表するのだが・・・

「『ショーシャンクの空に』以来の爽快なラスト!! 」
こんなキャッチフレーズを目にして、映画を見たくなりました。
でも、ラストは意外でも爽快でもありませんでしたよ。
時代の雰囲気がうまく出ていて、俳優さんの演技、特に憎々しい皇太子役はうまかったと思いましたが・・・
「映画」を見ているという雰囲気に浸らせてくれる作品ではありました。

『シズコさん』

2008年06月02日 | 
著者 佐野洋子

70歳になる著者が、母親について綴ったエッセイ。
母という存在の重たさを、正直に、魂を削るように書いています。

「私は、母の手をさわったことがなかった。抱きしめられたこともない。あの頃、私は母さんがいつかおばあさんになるなんて、思いもしなかった・・・」

「死なない人はいない。私もいつかは死ぬ。母さんごめんね、ありがとう・・・」

ジャンルはエッセイになるのでしょうが、いわゆるエッセイ風ではなく、一人語りの物語を読んでいるようでした。
飾らず赤裸々に正直に書かれてあり、さすが佐野洋子さん、と思いながら読みました。


他に、良かったなぁ、と思った本は・・・

赤井三尋著 『どこかの街の片隅で』

短編集ですが、とてもいいなぁ、と思ったのは、「花曇り」という短編。
囲碁の名人の独白といった形で物語は進みます。文章のうまさ、清廉さが感じられ、最後にはドンデン返しも用意され、10編の短編の内、9番目のお話ですが、それまで読んできて、このお話に出会えて良かったなぁ、と思いました。
10番目最後のお話も見事だまされ、面白かったです。


松田美智子著 『越境者 松田優作』

最初の奥さんである美智子さんが、俳優故松田優作の心の苦悩、葛藤などを中心に書いたもの。
人気急上昇中の『相棒』の水谷豊さんは、大の親友だったんですね。水谷さんて、いい人だなぁ、と読んでいて思いましたよ。


他に最近読んだ本は・・・

大倉崇裕著 『聖域』

高嶋哲夫著 『ファイアー・フライ』

永井するみ著 『義弟(おとうと)』  etc.

本ばかり読んでる生活って、本依存症 ??
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