著者 辻村 深月
詐欺をめぐる3つの物語……
『2020年のロマンス詐欺』『五年目の受験詐欺』『あの人のサロン詐欺』
著者のコメント……
直木賞受賞作『鍵のない夢を見る』は身近にある犯罪を描いた小説集
でしたが、その中でひとつだけやり残した題材が「詐欺」でした。
「詐欺」は人の願望や欲望、その人の「今」が色濃く滲む犯罪です。
被害者と加害者、どちらの側にもあなたの今があると
感じていただけたなら、とても光栄です。
『五年目の受験詐欺』より抜粋……
>ネットとかで振り込め詐欺のニュースとか見るとさ、
被害者のお年寄りが子どもとか周りに怒られるのが
怖くて言えなかったみたいなこと、書いてあるじゃん。
詐欺に遭ったこと、子どもに叱られて追いつめられちゃったり。
(高校生の息子の言葉)
>誰かを心配したり、不安に思う気持ちに つけこまれて騙された。
>結局 正しかったのは夫だ。 騙された自分は愚かで、
夫こそ正義なのかもしれない。
でも、夫婦や家族は、正しさや道徳だけでは語れないこともある。
詐欺に騙されないのが一番ですが、
愛する孫や息子が事故や事件に遭ったと聞き、
動転して正常な判断が出来なくなることもあるでしょう。
騙されてショックなのに、家族から非難されたらショックが倍増します。
家族は騙された人を慰めること、騙された人は愛する人が事故や事件に
遭っていなくて良かった~と思うことではないでしょうか。