図書館へ行こう!

 本は私の人生の友・・・

映画 『リップヴァンウィンクルの花嫁』

2016年03月30日 | 映画
監督・脚本 岩井俊二

控えめな性格ゆえに大きな声で話せない女性主人公はSNSでしか本音を吐けない。
ネットで出会った男性と結婚するが、すぐに破局、当てもなく街をさまよう。
両親は離婚、友人もなく、頼れるのは、これもネットで知り合った便利屋。
他者との深いかかわりを避けてきた彼女はどこか無垢で影が薄いが、
それでも必死に生きようとしている。
物語は、ネット社会に育った主人公が、リアルで濃い人間関係を築くうちに
少しだけ人生に前向きになる過程を描いています。

上映時間は3時間でしたが長さを感じさせず、
主人公役の黒木華さんの演技が とても良かったです。
現代には現代の生きづらさがあり、それでも皆、懸命に生きようとしています。

『 拳の先 』

2016年03月21日 | 
著者 角田光代

新聞に連載(2014年3月~2015年4月)されていたものを単行本化。
『空の拳』の続編のようですが、『空の拳』の方は未読なので
これから読んでみたいと思います。
読む順序が逆になってしまいましたが、『空の拳』を読んでいなくても
とっても面白く読めました。オススメです。

主人公は気の弱そうな(優しい)文芸編集者ですが、
以前、ボクシング雑誌に配属されていて、
ボクシングを理解するためにボクシングジムに入会していたこともあります。
文芸編集者として忙しい日々を過ごし、ボクシングジムからも遠ざかっていましたが、
あるきっかけで再びボクシングとの距離を縮めることになります。
ボクシング選手の恐怖と不安の先には何があるのか・・・。
主人公が自分の子どもの頃に似ていると思う、ボクシングジムに通う小学生は、
学校で壮絶なイジメを受けている・・・

>「もし そこに、自分の場所がないなって思ったら、
ほかへ いったって いいんだよ。
もっと おもしろそうなところがあれば、
そこにいくのは ぜんぜん悪いことじゃない。
それを、逃げるって言う人もいるかもな。
でもさ、言いかたを変えれば、見つけに いくってことでもあるだろ?
自分がいられて、おもしろいって思える場所を見つけに いく。
そう考えたら、あんまし ずるい気もしなくなるんじゃない?」

沢木耕太郎の『一瞬の夏』に感動し、
百田尚樹の『ボックス!』が とっても面白かったので、
もうボクシング小説は読まなくても いいかなと思っていましたが、
『拳の先』、とっても良かったです! 
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映画 『 母よ、』

2016年03月15日 | 映画
母親の介護など、プライベートの難題を抱えながら、
映画製作に取り組む女性映画監督が主人公で、イタリアが舞台の作品です。
主人公を演じたマルゲリータ・ブイが とても素敵でした。
ナンニ・モレッティ監督による自叙伝的作品で、
ご本人も主人公の兄役で出演しています。




写真は、今日 撮った さくらんぼの花(桜桃)です。
数年前、小学校の横の道(我が家への通り道)を歩いていたら、
子どもたちが木に登っていたので 立ち止まって見ていると、
「食べる?」と聞かれました。
差し出されたのは、小粒でしたが真っ赤な さくらんぼ。
甘くて美味しかったです。
木の上の方では小鳥たちが ついばみ、子どもたちも負けじと食べていて、
翌日 見たら、葉っぱしか残っていませんでした。
小学校の塀沿いにある その木は、目にしていましたが、
さくらんぼが鈴なりに実る木だとは それまで知りませんでした。
昨日、その木に お花が咲いているのに気が付きました・・・。
(追記:正式な名称は、セイヨウミザクラとか)

『漆黒の象』

2016年03月09日 | 
著者 海野 碧(あお)

渋谷 道玄坂 路地裏の小さな軽食喫茶店のマスターが主人公。
元刑事で、ときどき探偵のような仕事もしています。

主人公は子どもの頃、両親と姉を失っておりますが、
大人になり、外からは見えない家庭や人の裏側を知り、
自分の家庭も、台風で家が倒壊して家族が犠牲にならなかった場合でも、
いいことばかり続いた保証はなかったのではないか、と思うに至ります。

>誰の人生にも、真っ黒な象にも似た運命に、いきなり踏み潰される、
そんな巡り合わせがあり得るのだ。
父は、そして母と姉は、幸せの絶頂で亡くなったのかもしれない。
むろん彼らには ずっと生きていて欲しかったし、
彼らも私とともに生き続けたかっただろう。
しかし起こってしまったことは起こってしまったこと。
記憶の中の両親と姉は、決して老いることのない笑顔で、
瑞々しい躍動感に満ちている。
それでいいんだ、と私は この歳になって初めて、
家族と突然 別れてしまった時の凄まじい喪失感と、
完全に折り合いをつけることができたのだった。

以前、志水辰夫の小説が好きで読んでいました。
こちらの著者は女性ですが、主人公の雰囲気が
少し似ているように感じました。



我が家のツバキの花が咲きました。
今日は部分日食が見られるということで、
日食グラスを探して用意しましたが、雨でした・・・。
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