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 本は私の人生の友・・・

『青瓜(あおうり)不動』

2023年07月31日 | 

~ 三島屋変調百物語九之続 ~

著者 宮部 みゆき

 

行く当てのない女たちのため土から生まれた不動明王(『青瓜不動』)

悲劇に見舞われた少女の執念が生んだ、家族を守る人形(『だんだん人形』)

描きたいものを自在に描かせてくれる不思議な筆と その代償(『自在の筆』)

人ならざる者たちの里で育った男が語る故郷の物語(『針雨の里』)

恐ろしくも暖かい百物語です。

 

>江戸は神田三島町にある袋物屋の三島屋は、「黒白(こくびゃく)の間」という客間に人を招いて、風変わりな百物語を続けている。

一度に招く語り手は一人だけ。向き合う聞き手も一人で、語られる話は一つ。夜の闇にこだわらず、蠟燭を灯したり消したりの趣向もない。

「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」

語り手は語って思い出の荷を下ろし、聞き手は、受け取った荷を黒白の間の限りに収めて二度と口にしない。

 

>人は誰でも、一生に一つの物語を綴りながら生きている。時にはそれを語りたくなる。

幸福の儚(はかな)さを、情愛の美しさを、失われてゆく魂の尊さを、全てを焼き尽くしても

なお燻(くすぶ)って残る憎悪のしぶとさを、許し合う心の豊かさを。

それらを聞き取るためにこそ、三島屋の変わり百物語は続いてゆく。

 

宮部みゆきさんの本には根底に心の優しさがあり、大好きです。

 

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