著者 朔立木
高級養護老人施設「ロワジール奥多摩」の入所者である男女が、近くの河原から水死体となって発見された。
この施設は富裕老人層だけを対象とした超高級老人ホームで、被害者は所内では公認の恋人同士だった。
捜査の結果、唯一アリバイのない看護師・河本絵里が浮上、警察は半年後に彼女を逮捕するが、河本は「疑惑の女」として各メディアの注目を集め、ネット界のアイドル的存在になっていた。
冤罪を叫ぶ彼女は、果たして「白」なのか「黒」なのか・・・。
ロス疑惑の三浦和義さんがサイパンで逮捕されたばかりですが、この本を読んでいて、かつてマスコミをにぎわせた事件の容疑者たちを思い出しました。
本の中でロス疑惑についても触れています。
「あの事件はこの事件よりはずっと濃い状況証拠があったが、自白は取れなかった。
裁判所は無罪にした。日本は自白に頼って捜査し、裁判する国だ。
裁判官は自白があれば他の証拠が弱くても安心して有罪にする。
反対に自白がなければ有罪にするのをためらう。
ロス疑惑で、被告人は終始否認で通した。」
「この女はどこでこういう対人関係を身につけたのか。
女王のようにわがままに、しかし驚くほど細かい気遣いで全員の心を自分に集め、自分が考えることに同調させ、場を盛り上げる。
・・・これは天性のものだろうか。
古代のシャーマンだったと言われる卑弥呼という女は、きっとこういう資質を強く持っていたに違いない、と思わせられていた。」
「・・・担当する裁判官の考え方一つで、同じ証拠で有罪になったり無罪になったりする。
それを決めるのはその裁判官が有罪判決を書きたいか、無罪判決を書きたいかだけさ。
・・・毎日毎日言い渡している有罪判決の中には、ほんとうは無実の者も含まれている。
でも無罪判決を受けた者の中にも、ほんとうはやってるやつも含まれてる。
もちろん日本の裁判では無実なのに有罪判決を受けるやつの方が圧倒的だ。
でもごく稀だとしても有実なのに無罪判決を取るやつもいる。」
映画『それでもボクはやってない』も思い出しました。
真実は藪の中。
真実は神と本人しか分からない。
疑わしきは罰せず。
いろんな言葉が思い浮かびます。
いざ自分が容疑者にされたら、平常心でいられるはずもなく、環境の変化や扱われ方のショックで、どうにかなってしまうはず。
一旦容疑者にされたら、それをくつがえすのは至難の業であり、たとえ無実が分かっても、人々が抱いた疑惑の心象を消すのは困難でしょう。
著者は現役の弁護士であり、裁判の実態を見事に描いてます。
裁判員制度の導入は、個人的な考え方での偏りを少なくすることを目的にしているそうです・・・。
高級養護老人施設「ロワジール奥多摩」の入所者である男女が、近くの河原から水死体となって発見された。
この施設は富裕老人層だけを対象とした超高級老人ホームで、被害者は所内では公認の恋人同士だった。
捜査の結果、唯一アリバイのない看護師・河本絵里が浮上、警察は半年後に彼女を逮捕するが、河本は「疑惑の女」として各メディアの注目を集め、ネット界のアイドル的存在になっていた。
冤罪を叫ぶ彼女は、果たして「白」なのか「黒」なのか・・・。
ロス疑惑の三浦和義さんがサイパンで逮捕されたばかりですが、この本を読んでいて、かつてマスコミをにぎわせた事件の容疑者たちを思い出しました。
本の中でロス疑惑についても触れています。
「あの事件はこの事件よりはずっと濃い状況証拠があったが、自白は取れなかった。
裁判所は無罪にした。日本は自白に頼って捜査し、裁判する国だ。
裁判官は自白があれば他の証拠が弱くても安心して有罪にする。
反対に自白がなければ有罪にするのをためらう。
ロス疑惑で、被告人は終始否認で通した。」
「この女はどこでこういう対人関係を身につけたのか。
女王のようにわがままに、しかし驚くほど細かい気遣いで全員の心を自分に集め、自分が考えることに同調させ、場を盛り上げる。
・・・これは天性のものだろうか。
古代のシャーマンだったと言われる卑弥呼という女は、きっとこういう資質を強く持っていたに違いない、と思わせられていた。」
「・・・担当する裁判官の考え方一つで、同じ証拠で有罪になったり無罪になったりする。
それを決めるのはその裁判官が有罪判決を書きたいか、無罪判決を書きたいかだけさ。
・・・毎日毎日言い渡している有罪判決の中には、ほんとうは無実の者も含まれている。
でも無罪判決を受けた者の中にも、ほんとうはやってるやつも含まれてる。
もちろん日本の裁判では無実なのに有罪判決を受けるやつの方が圧倒的だ。
でもごく稀だとしても有実なのに無罪判決を取るやつもいる。」
映画『それでもボクはやってない』も思い出しました。
真実は藪の中。
真実は神と本人しか分からない。
疑わしきは罰せず。
いろんな言葉が思い浮かびます。
いざ自分が容疑者にされたら、平常心でいられるはずもなく、環境の変化や扱われ方のショックで、どうにかなってしまうはず。
一旦容疑者にされたら、それをくつがえすのは至難の業であり、たとえ無実が分かっても、人々が抱いた疑惑の心象を消すのは困難でしょう。
著者は現役の弁護士であり、裁判の実態を見事に描いてます。
裁判員制度の導入は、個人的な考え方での偏りを少なくすることを目的にしているそうです・・・。