図書館へ行こう!

 本は私の人生の友・・・

『暗闇のヒミコと』

2008年02月29日 | 
著者 朔立木

高級養護老人施設「ロワジール奥多摩」の入所者である男女が、近くの河原から水死体となって発見された。
この施設は富裕老人層だけを対象とした超高級老人ホームで、被害者は所内では公認の恋人同士だった。
捜査の結果、唯一アリバイのない看護師・河本絵里が浮上、警察は半年後に彼女を逮捕するが、河本は「疑惑の女」として各メディアの注目を集め、ネット界のアイドル的存在になっていた。
冤罪を叫ぶ彼女は、果たして「白」なのか「黒」なのか・・・。

ロス疑惑の三浦和義さんがサイパンで逮捕されたばかりですが、この本を読んでいて、かつてマスコミをにぎわせた事件の容疑者たちを思い出しました。
本の中でロス疑惑についても触れています。

「あの事件はこの事件よりはずっと濃い状況証拠があったが、自白は取れなかった。
裁判所は無罪にした。日本は自白に頼って捜査し、裁判する国だ。
裁判官は自白があれば他の証拠が弱くても安心して有罪にする。
反対に自白がなければ有罪にするのをためらう。
ロス疑惑で、被告人は終始否認で通した。」

「この女はどこでこういう対人関係を身につけたのか。
女王のようにわがままに、しかし驚くほど細かい気遣いで全員の心を自分に集め、自分が考えることに同調させ、場を盛り上げる。
・・・これは天性のものだろうか。
古代のシャーマンだったと言われる卑弥呼という女は、きっとこういう資質を強く持っていたに違いない、と思わせられていた。」

「・・・担当する裁判官の考え方一つで、同じ証拠で有罪になったり無罪になったりする。
それを決めるのはその裁判官が有罪判決を書きたいか、無罪判決を書きたいかだけさ。
・・・毎日毎日言い渡している有罪判決の中には、ほんとうは無実の者も含まれている。
でも無罪判決を受けた者の中にも、ほんとうはやってるやつも含まれてる。
もちろん日本の裁判では無実なのに有罪判決を受けるやつの方が圧倒的だ。
でもごく稀だとしても有実なのに無罪判決を取るやつもいる。」

映画『それでもボクはやってない』も思い出しました。

真実は藪の中。
真実は神と本人しか分からない。
疑わしきは罰せず。
いろんな言葉が思い浮かびます。

いざ自分が容疑者にされたら、平常心でいられるはずもなく、環境の変化や扱われ方のショックで、どうにかなってしまうはず。
一旦容疑者にされたら、それをくつがえすのは至難の業であり、たとえ無実が分かっても、人々が抱いた疑惑の心象を消すのは困難でしょう。

著者は現役の弁護士であり、裁判の実態を見事に描いてます。

裁判員制度の導入は、個人的な考え方での偏りを少なくすることを目的にしているそうです・・・。
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『離愁』

2008年02月25日 | 
著者 多島斗志之

昔の美貌を残しながらも無表情、徹底して人とのかかわりを好まなかった藍子叔母。
謎に満ちた叔母の人生に、わたしは物書きとしての興味をかきたてられた。
叔母に届いた手紙と、ある男の手記。調べていくうちに、若き日の叔母の恋人は、ゾルゲ事件で投獄されていたことを知る。

これは再読でしたが、前後して同じ著者の『追憶列車』も読みました。

他には、垣谷美雨著『リセット』、伊集院静著『羊の目』など。

いろんな人生を読めて、どれも面白かったです。
読んでいるときは気がかりなことも忘れて、読後は考えさせられたり。
本を読んでる場合じゃないと思っても読んでしまうのは、現実逃避?

しばらく本を読むのは控えて、やらなくちゃならないことを片付けようと思うのですが・・・。
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『わらの人』

2008年02月19日 | 
著者 山本甲士

ダスティン・ホフマン主演の映画『わらの犬』は、ことなかれ主義で生きてきた主人公が最後には反撃に出るお話ですが、
題名は、中国の思想家・老子の語録の中からとった言葉で、
超人間的存在である天から見れば、人間の行動は護身のために焼く「わらの犬」のようにちっぽけな存在にすぎない、というもの。

この本の題名もそれにヒントを得たんでしょうね。
6話ありますが、共通して出てくるのは女性理容師。
以前一緒にやっていた夫と離婚したときに、この店をぶんどってやったという理髪店の女主人は、偶然やって来たお客さんをイメージがガラリと変わる髪型にしてしまいます。
心地よいマッサージを施され、髪型の確認をされても夢見心地で生返事をしてしまう。奇抜な髪型にされてしまっても文句も言えず仕方なく思うが、そのくらい気が弱く生きてた人ばかり。
しかし、その髪型に押されて、今までの自分と違う変化が訪れる。
その後の変化は、読んでいて痛快でした。
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『月の小屋』

2008年02月16日 | 
著者 三砂ちづる

38歳になった年から、彼女は断固として12月24日から年末休みをとることに決めた・・・。(不思議な摂食障害を描く『詰めもの』)
他に『母の夢、オセチアの夢』『石鹸』『逡巡、あるいは骨の記憶について』『そうじする人』『小屋』の6篇を収録。
女性を肯定してくれるお話で、私は『逡巡~』が特に良かったですよ。
『オニババ化する女たち』の著者の小説第1作。

他に最近読んで面白かった本は、永瀬隼介著『デッドウォーター』、伊集院光(タレント)著『のはなし』など。

紅梅、水仙、椿 (不動尊にて)


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カルガモの夫婦

2008年02月11日 | Weblog
近くの用水路に、いつも2羽でいます。
他には、カルガモの姿はありません。
数年前、とっても小さくて可愛いカルガモたちを連れたお母さんカルガモを見かけたので、今年はシャッターチャンスをモノにしたいもんです。
今からカルガモの赤ちゃんの誕生を心待ち~。



おまけ(夜の雪景色を撮って失敗)
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『深夜特急』

2008年02月07日 | 
著者 沢木耕太郎

1947年生まれの沢木さんが26歳のとき、インドのデリーからイギリスのロンドンまで乗り合いバスで行こう、と思い立ち、仕事をすべて投げ出して旅に出ます。
途中、香港やマカオなどにも立ち寄りながら、あくまでもバスを交通手段の基本として、ロンドンまで1年以上かかって旅をします。

本の題名のもとは・・・
トルコの刑務所に入れられた外国人受刑者たちの間の隠語で、
脱獄することを、ミッドナイトエキスプレスに乗る、と言うそうです。

単行本全3巻(1・2巻は1986年、3巻目は1992年出版)
文庫本全6巻(1994年出版)

香港からロンドンまでの旅も長かったけれど、それを本にするのにも長い時間が必要だったそうです。

再読ですが、新鮮な気持ちで読めました。
旅の中での人々とのステキな出会いなどは、読んでいて記憶にありましたが、
「わかっていることは わからないということだけ」
という、池田晶子さんが言ってたことと同じような言葉などは、すっかり忘れていました。

「どいて、どいて、これから お母さん 仕事するのよ」と言って、居間で夜更かししている息子ドモを追いやりました。
「急にそんなこと言うなんて、本に感化されたに違いない」と、息子。
図星であるような、ないような・・・。

来月の自治会の決算を控えて、準備すべきことが沢山あるのに、中々やる気にならず、気になるばかり・・・そんな自分にイヤケがさしました。
とにかく始めよう、と思い立ちました。

この本を読んだのは1週間以上前。
その後も数冊、本を読み、どれがどうって訳でなく、でも、本のエキスが自分に何らかの影響は与えていることでしょう。
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雪の日曜日

2008年02月03日 | Weblog
深夜から雪が降り続いております。
時々みぞれになったりで、雪はベトベト状態。
今日は節分で、明日は立春・・・まだ、春は暦の上だけ、ということですね。




雪をはらって・・・

ロウバイも・・・

夏ミカンも・・・雪にビックリ??
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