著者 森 絵都
原因不明の歯痛に悩む私が訪れた不思議な歯医者(『太陽』)
女ともだちをサプライズパーティに連れ出す予定が……(『獣の夜』)
短編の名手である著者が、日常がぐらりと揺らぐ瞬間を、ときにつややかに
ときにユーモラスにつづった短編集。
>「一つ約束してください。自分の問題と他人のそれとを比べて卑下したりしないと」
「卑下?」
「このコロナ禍での顕著な傾向です。どんなに自分が困っていても、
もっと困っている人がいるからと、人と見比べて自分自身の問題を貶(おとし)めてしまう。
結果、愚痴のひとつも ろくにこぼせず、皆がますます追いつめられています」
(『雨の中で踊る』より)
短編集の表題となった『獣の夜』は、怖そうな題名だと思いましたが、
ジビエ料理に使う「獣」でした~