SNファンタジック日報

フラメンコと音楽をテーマにファンタジーを書きつづる新渡 春(にいど・しゅん)の、あるいはファンタジックな日々の報告。

『四国はどこまで入れ替え可能か』

2009-05-28 10:55:36 | 読んだ話
以前からちょっと気に入っているアニメーションがあった。NHK教育テレビでやっている『ピタゴラスイッチ』に出てくる、フレーミーという子犬。体の各パートがそれぞれ四角形でできていて、わたしの好きな点目系。無表情でとぼけた動きをするのがなんとも可愛い。
先日、そのフレーミーの作者が佐藤雅彦さんという人だと知った。電通クリエイティブ局などを経て、企画事務所を立ち上げ、慶應義塾大学の教授でもあるという才人だ。その彼のショートコミック集を先日友人にもらい、喜んで読んでいたら、フレーミーが出てきてびっくりした。
そのショートコミック集は、タイトルを『四国はどこまで入れ替え可能か』という。もとはネット上で配信されたコンテンツとのこと。当時のタイトルは『ねっとのおやつ』だったが、単なるかわいいものを集めたように思われているのが納得できず、このユニークなタイトルに改められたとのこと。
実は、109本のネタが集められたこの作品集において、『四国はどこまで入れ替え可能か』はそのうち1編のタイトルに過ぎない。四国と北海道、四国と九州、はては四国と意外な国を入れ替えたらどうなるか。そうした他愛もないネタなのだが、これが妙に笑えるのだ。爆笑というのではないのだが、忘れたころにふっと脳裏に浮かんで思い出し笑いしてしまう。ほかにも体長6センチのミニ象シリーズ(これがまた愛らしい)、テレビとリモコンのバトルを描いた「リモコンにもの申す!!」、有名なイソップ童話を下敷きにした「あのキツネのその後」……さまざまなネタが満載なのだが、どれもクスリと笑えるものばかり。確かにかわいいものだけではない証拠に、ブラックユーモア的なものもそこかしこにちりばめられており、それがまたピリッと風味が効いている。絵もとぼけているのだが非常に味があり、気づくと手元に置いて読み返している。なお、最初に話題にしたフレーミーは、本書では「枠々犬フレーミー」となっており、よりキャラクターが明確になっている。次回作があれば、今度はわたしの好きなスペインを何かと入れ替えていただけないだろうか。
個人的には干したTシャツと似ている気がするのだがどうだろう。ともあれSちゃん、素敵な本をありがとう。繰り返し楽しんでいます。