271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

『ゴムはなぜ伸びる?』(坊ちゃん選書)

2009-02-22 05:05:01 | 読書
年度後半の繁忙期は土曜も隔週で営業日になっています。昨日も朝から設計で打ち合わせ。土曜なので外からの電話も少なくて会議をするには好都合でした。取引先からの技術的な問い合わせを説明し、これは私が回答することにして、会議終了後メールを書きました。
書き終えて、色々気になることを思い出したので丸善の『ゴム技術入門』を読み返したのです。同書の14ページには以下のようなグラフが掲載されています。

各種材料の応力ーひずみ特性が示されていますが、横軸が対数目盛になっていることに注意しましょう。対数目盛を使わないとカーボンからゴムまでを一枚のグラフで表すことが出来ないのです。カーボンは軽くて弾性率が高く、これが航空機の素材として使われる理由です。ポリエチレンについては詳しいことは書いてありませんが、最近は釣り糸として使われる理由も理解できます。
スチールは弾性の限界内(約0.3%)で使うことが一般的ですが、ゴムは800%も伸び、300%あたりが実用範囲です。実に1000倍ですね。ゴムの技術書でなければこのようなグラフにお目にかかることはありません。実に分かりやすい。

そしてもう一冊読んだのは『ゴムはなぜ伸びる?』(坊ちゃん選書)です。前掲書より一般向けに書かれているのでゴムの歴史から、ゴムがなぜ伸びるかについて理解が進みました。お勧めの一冊です。同書が坊ちゃん選書なのは東京理科大学が創立125周年記念でこのシリーズを企画したことにあります。夏目漱石の小説『坊ちゃん』の主人公は東京理科大学の前身である物理学校の出身だからです。
物理学校は明治初期の東大でフランス語で物理を学んだ卒業生が中心になって設立し、手弁当で運営当たりました。設立当初は入学試験は無くて、誰でも入れましたが卒業するのは難しい学校でした。この学校は坊ちゃんのように旧制の中学校の数学や物理の教員を多数送り出して日本の中等教育を支えたのです。同校の卒業生で直ぐに思い浮かぶのは小倉金之助です。
東京物理学講習所の初代所長は櫻井房記(さくらい ほうき)で、彼が第五高等学校教頭であったころ同校の新任教師であった夏目漱石に、イギリス留学を薦めたといわれています。また漱石は設立者の一人中村恭平とも親交があり、これが「坊ちゃん」のルーツだったのですね。
そして鮫島晋は小諸義塾で島崎藤村と教師仲間でした。物理学校は理系の教育だけでなく近代文学にも貢献したとは驚きです。

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