271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

林達夫評論集(岩波文庫)

2014-08-23 12:49:28 | 読書
家の整理をしていると、たまに「お宝」を発見することがあります。先日も子供たちが買い溜めたコミックを処分すべく箱詰めしていたら、その中に岩波文庫の青版を見つけて拾い上げると、これが『林達夫評論集』でした。この文庫本は私が最後に買った林の本です。
学生時代に久野収との対談集『思想の思想のドラマトゥルギー』で林を知ってから中公文庫の『共産主義的人間』と『歴史の暮方』の2冊を愛読書として、林に書き言葉を教わった気になっていました。やがて平凡社から彼の著作集全6巻が発売されたことを知って即購入。著作集を書架に並べるとなぜか安心して箱入りのハードカバーはほとんど読まず、相変わらず文庫本を読んでいたように思います。それでも書店で岩波文庫の青版が目に留まるとつい買ってしまうのでした。結果は積読から行方不明。
再会したこの岩波文庫をパラパラめくると、中公文庫には含まれていない文章がどうしても目に入ります。それが「新聞について」(初出、『文学界』1953年9月号)でした。話の始まりは、当時の福井県の施設の看板が「福丼県」と書かれたことに対して県民が「これはフクドンブリケンではないか!」と言う非難に対して、県の担当者が「丼は井の旧字体であるから誤りではない」と反論し、地元では大きな話題になりました。
当時新聞は漢字制限や新字新かななどを推し進めていましたが、このことを報道した朝日新聞の題字の新の字の編が「立+未」であったことを林は教えてくれました。私は2階から転げ落ちるようにして階下にある「朝日」と「読売」を確認しました。確かに朝日の「新」はこうなっています。
物心ついてからほぼ毎日見てきましたが、全く気が付きませんでした。「見えても、見えず」とはこのことですね。林によれば「新」の旧字体の採用は毎日新聞が先だったそうですが、にわかには信じられないので、巨大辞典に当たって見ました。

毎日新聞
1978年1月1日、「新」の字の偏を「立+未」から「立+木」に改める。

それでは朝日はどうか?

朝日新聞の題字は、唐の書家である欧陽詢の『宗聖観記』の中の筆跡から作字したもので、1879年の創刊から使われている。題字の「新」の中の「木」の部分は「未」となっている。これは古い字体であり、この文字が書かれた当時は誤字ではなかった。また、その「新」の字が『宗聖観記』の中に無かったことから、「親」の偏と「柝」の旁から点を取り除いたものを組み合わせて「新」を作字した。


どうも林の勘違いらしい。新聞は(朝日・毎日・東京):(読売・産経・日経)=リベラル:保守=脱原発:原発推進と表現されるかも知れません。しかし題字に関する限り朝日はかなり保守的と言えるでしょう。

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2 コメント

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祖母様 (Unknown)
2014-08-30 13:05:59
祖母様のお誕生日おめでとうございます。祖母ログが終了してたいへん寂しくなりました。偶には祖母様のお姿を拝見できないかと、こちらのブログも拝見していますが・・。
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米寿 (271828)
2014-09-13 17:35:53
Unknown様

「祖母」は8/30で米寿を迎えました。
要介護1の認定を頂いて週3回デイサービスを利用しております。筋力の衰えは年相応、胃腸が丈夫なのはとても助かります。従って普通の食事です。
この分だと100歳まで生きられそう。
返信する

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