271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

公式球ジャブラニ(JABULANI)

2010-06-24 05:11:18 | 幾何学
毎晩サッカーの放映があり、あまりサッカーを観戦しない私でもつい見てしまいます。南アW杯では南米勢が各組のトップなのにヨーロッパの強国が振るいません。フランスチームは崩壊し、A組最下位が決まりました。
昔のことになりますが、この競技のボールを亡父はジャングルジムにしたいと模型と格闘し、手製のプレスと溶接治具で何とか製品化しました。当時の苦労話も思い出しました。

また点数が入らないのも今大会の特徴のようで、槍玉にあがっているのが、アディダス製の公式球ジャブラニ(JABULANI)です。日蘭対決でも球の軌道が微妙だったという声もありました。選手たちには不評のようですが、このボールは全世界で1300万個も売れたそうです。

NHKのニュースを見ていたら、流体力学の専門家も動員して、強風下では従来品と比較してこのボールがより激しく振動する動画を放映していました。

どこが従来品と違うのでしょうか?このアディダス製のジャブラニがどのように作られているのか良く分かる動画が以下です。


そしてその製品テストの様子が以下です。アディダスの社員の自信に満ちた表情が印象的です。


前の動画では従来品の製造工程も写っているのでパーツの違いも良く分かります。

従来品は正20面体の陵を3等分し、これを基準としてカットした32面体で、正6角形が20、正5角形が12現れます。切頂二十面体です。頂点の数は60、辺の数は90本です。この多面体は球近く、中に空気を充填すれば皮が伸びてボールが完成します。アニメーションGIFはWikipedeiaに良くできたものがありこれを利用しています。以下同じ。

幾何学的にはこの多面体に外接する球を考え、中心から投影すればサッカーボールになります。面と面との境界線(辺)は球面上の大円です。曲面上の任意の2点を選んで、その最短線を測地線(そくちせん、geodesics)と言いますが、球面ではこれが大円となります。

ではジャブラニはどの多面体をモデルにしているのでしょうか。私の想像では正四面体の頂点をカットした切頂四面体です。この多面体を中心から球面に投影して、表面に現れる球面三角形4枚をデザインし、8枚のパーツを作ったのでしょう。パーツは32から8に激減します。しかし面同士の境界線が測地線ではなくなり、このことが強風下において振動の原因になっているのかも知れません。

従来品のモデル切頂二十面体は6角形のパーツが多いので歩留まりが良いのですが、ジャブラニはロスが多い、従って高価になってしまうのでしょう。(平面の分割)

私の部屋には切頂二十面体をモデルにしたおもちゃも飾ってあります。多角形をリングに置き換えたことが分かります。

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