271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

バランストンボ(やじろべえ)

2009-10-24 09:07:04 | 遊具
引き続き力学の復習を続けていて、ファインマンの『力学』が読みたかったのですが、息子に持って行かれて手許にありません。それで同書を翻訳した坪井忠二さんの『力学物語』(岩波、1970年初版)を開いてみました。題名が『物語』ではありますが、縦書きではありません。1960年代に著者が雑誌「科学朝日」に連載した記事を単行本としてまとめたものです。読者の対象を中高生までとしたためでしょうか、微積分はおろか三角関数すらも使わずに古典力学の面白さを伝えようと意図しているのです。従って使える数学は代数と三平方の定理くらいです。

目次を一瞥しただけで遊具に深く関わる記事が見つかります。ブランコ関連では振り子の等時性を説明した「第8話 時計は朝からカッチンカッチン ─等時性─」です。まずバネと重りからなる単振動を取り上げ、「位置エネルギー+運動エネルギー=一定」というエネルギー保存則を出発点とします。そして周期の計算で中心的な役割を果たすのが変位xを横軸に速度vに定数(m/k)^(1/2)を掛けたものを縦軸とする相空間(Phase space)の幾何学的性質です。そして周期が振幅よらないことが示され、同様な議論を経てお馴染みの単振り子の周期の式が導かれます。工夫のあとが覗われます。

さて「やじろべえ」も後半の議論で登場し、ここが最も面白かったのです。やじろべえは東海道中膝栗毛の登場人物「弥次郎兵衛」に由来し、荷物を天秤棒で担ぐ様を表しているのです。

周期は以下の式で表され高さhが小さくなる、言い換えれば開き角度が大きくなると、周期は長くなり、180度に近いあたりでは急速に大きくなります。ついには無限大になるのです。

また開き角度が120度の場合、2倍のLの振り子と同じ周期になるのも面白い結果です。解析力学の手法を使うともっと簡明に奇麗な結果が出ますが、それはさて置いて、角度を変更できるやじろべえを作って周期の変化を見てやろうと思ったのです。

手間の掛かることは出来ないので、お手軽に出来る素材を考えて100円ショップで売っているアルミの線を使うことに決定。売り場には1mm~3mmまでありましたが、1mmで一巻18.6mのものを
購入しました。

さてどんなデザインにしようかと考えて、「ものつくりハンドブック」に出ていたバランストンボに決めました。

裏表紙に載っている型紙を参考に曲げて、あとは適当にペンチで切断するだけです。この太さなら工作用のハサミでも切れそうです。18mもあれば30人学級で一巻きで足りそうです。工作は簡単ですが微調整には手間取りました。何とか動かすとこと出来ました!




やじろべえは英語で balancing toy と言うらしい。これをキーワードに探すとありました。周期の測定も忘れてしまっています。




インドの教師が上げた動画なのでヒンディー語がさっぱり分かりませんが、英語の字幕があるので内容は明快です。これも小学校の工作にはぴったりですね。

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