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『リンゴの歴史』

2016-06-27 06:05:47 | 読書
夏になるとニュージーランドの林檎が出回り始めます。我が家から直近のスーパーではまずJAZZが、続いて「ふじ」そしてENVYが売られるのを楽しみしています。南半球では今は冬、かの地の旬の果物が海を渡って日本の店頭に並ぶのです。このJAZZをよく見ると小ぶりで色付きもまばらですが、日本のように摘果・葉取り・玉回しを行っていないのでしょう。しかし酸味があって私の好みです。レジで見張っていても私以外には購入する人は少ないようです。
昨日は久しぶりに安中市図書館に行って、前々から気になっていた本を借りました。それが『リンゴの歴史』エリカ・ジャニク著(原書房2015年10月初版)です。

序章の「忘れないリンゴ」から引き込まれてしまいました。著者の生まれ育ったのは林檎の名産地ワシントン州ですが彼女を感動させたのはウィスコンシン州の「ピンク・パール」というリンゴでした。この品種は数カ月前に前橋の園芸店で買おうか買うまいか迷ったリンゴでした。結局購入したのは「ルビースィート」でした。こちらのほうが果肉が赤かったからです。でもそれほど旨いなら「ピンク・パール」でも良かったかな。
次に私が驚いたのは林檎の原産地の記述です。最近の研究ではそれがウズベキスタンのアルマ・アタ周辺だというのです。私はこの「アルマ・アタ」という地名で若いころの記憶が甦るのです。最も好きな詩人石原吉郎と分かちがたく結びついているのです。

その朝サマルカンドでは 詩集〈サンチョ・パンサの帰郷〉より

・・・・
サマルカンドでは その朝
地震があったというが
アルマ・アタでは りんご園に
かり出された十五人が
りんご園からよびかえされて
じょう談のように署名を終えた
起訴されたのは十三人
あとの二人は 証人だ
そのまた一人が 最後の証人で
とどのつまりは 自分の
証人にも立たねばならぬ
・・・・
まったくのはなし サマルカンドでは
その朝 地震があったのだし
アルマ・アタの町からは
十五人の若者(シノク)が
消えたのだ!
・・・・


この『リンゴの歴史』でアルマ・アタ(現在のアルマトイ)が「リンゴの父」という意味であることを知りました。石原の詩にもリンゴ園が出てくることに納得です。
本書は一般消費者向けに書かれた良書であると思います。リンゴといえば必ず出てくる「ニュートンの林檎」の話も抑制された記述、アップルコンピュータのロゴの起源もあります。以下目次を掲げます。

序章 忘れられないリンゴ
第1章 中央アジアから世界へ
第2章 リンゴは想像力の源
第3章 飲むリンゴ「シードル」
第4章 リンゴと健康
第5章 世界のリンゴ
付録 完璧なリンゴの選び方

巻末にはリンゴのレシピあり、グラニースミスの人気の高さに改めて脱帽、日本でもいずれ評価が上がるでしょう。

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(6/29追記)『リンゴの歴史』巻末にはレシピ集があります。この中で最もシンプルなのが「ウォルドーフサラダ」でリンゴ3個を2cm角に刻み、セロリ100g食べやすい大きさに刻んで80mlのマヨネーズに混ぜるだけです。同書P178
冷蔵庫の中を見るとJAZZはいましたが、セロリは凍っています。ルバーブがいたので、これをセロリの代替とし、3mmほどの小口切りとしてマヨネーズで和えてみました。リンゴとルバーブの酸味がほどよく効いてなかなか美味。家族にも好評でした。

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