271828の滑り台Log

271828は自然対数の底に由来。時々ギリシャ・ブラジル♪

ブランコを漕ぐ(その3)

2010-03-08 03:51:43 | 遊具
私が「ブランコを漕ぐ」または「ブランコが漕げる」ことを意識したのは四半世紀も昔のことです。誰でも子供頃、ブランコを漕ぐことを覚えそのまま大人になってしまったので、このことを反省する機会はまずありません。それを意識させてくれたのは戸田盛和さんの『おもちゃセミナー ─叙情性と科学性への招待─』(日本評論社、1973年初版)でした。同書は雑誌『数学セミナー』に連載された記事を単行本にまとめたものです。引き続き、続編も出版されました。その後、正続2巻は『おもちゃの科学』6分冊として再刊されましたが、現在ではどちらも絶版となっています。
古書ではなんとか入手可能ですが、アマゾンでも同書の[目次を見る]が省略されているので、目次を掲載し、内容を想像して頂きたいと思います。

目次
第一回  摩擦とアリストテレス
第二回  弥次郎兵衛とアルキメデス
第三回  だるま落とし
第四回  蛙のぶらんこ
第五回  ぶらんことキツツキ
第六回  歩くやじろべえ
第七回  平和鳥とポンポン蒸気船
第八回  磁石の利用
第九回  ういてこい
第一〇回 こまの不思議
第一一回 ヨーヨー・フラフープ
第一二回 おくればせながら
第一三回 ショーノーの舟
第一四回 ゴムひもの動力
第一五回 空気鉄砲・ゴム風船
第一六回 クリスマスの灯
第一七回 凧と風車
第一八回 上へ上がる機構
第一九回 上下縦横まえうしろ
第二〇回 玩具と造形
第二一回 光線の遊び
第二二回 波と乱れと
第二三回 動きのさまざま
第二四回 メカニズム

目次からこれらのおもちゃを思い浮かべることが出来るのは私達の年代が最後かも知れません。多くの素朴なおもちゃ達はもう博物館でしか見られなくなってしまったのは残念です。

さてブランコに関する記事は「第四回 蛙のぶらんこ」と「第五回 ぶらんことキツツキ」で取り上げられます。
ブランコを漕ぎ始めるとき、普通は座板に座ったまま足を地面につけて後ずさりしてから足を上げて振動を会しさせます。また幼児の場合は足が地面に付かないので親が前後にゆすってやるのです。親が周期に合わさせて押すまたは引いてあげれば振幅は拡大しますが、外力を加える強制振動です。これには何ら不思議なことはありません。
問題は自力で漕ぐ場合で、座板の上でじたばたしてもブランコは漕ぐことが出来ないのです。ブランコの漕ぎ手がどの様にしてこの系にエネルギーを注入するかを簡単なモデルで見せるために戸田さんはゴムで出来た「蛙のぶらんこ」を考案したのです。




このおもちゃは私がこどもの頃は駄菓子屋でいつでも買うことが出来ました。これをたらいに浮かべてゴムのボールを握るとチューブから空気が送られてカエルの足が伸びてカエルが平泳ぎをするのです。これをブランコの模型に取り付けて一番下になったとき=速度が最大になった時に重心を上に持ち上げてエネルギーを注入するのです。

上の動画はHubert Christiaen さんがWikipediaに提供しているのを利用させてもらっていますが、速度vが最大になるのはどこか、これが良く分かります。

重心を持ち上げるのは仕掛けが必要ですが、単振り子のパラメータ=糸の長さを、ブランコの振動数ωの2倍で変化させてやれば励振されるのです。以下のイラストを見て自宅で試してみました。

動画撮影の予行演習も兼ねています。錘は手じかにあったM10のナイロンナット(約20g)を使いました。糸の長さは周期を1秒にするために70cmとしました。やってみるとこれがなかなか難しい。私の手は振り子の振動数ωに合ってしまうのです。
キラキラ光るナットが揺れているのを見て、我が家の猫は大興奮、飛び掛って糸を切ってしまいました。動画の撮影は段取りをしっかりやって次回とすることにしました。

私も「蛙のぶらんこ」を作ってみたくなってネットで探しましたが、まだ売られていることは確認出来ましたが、入手先が分かりません。おもちゃ業界に詳しい娘に探索を依頼すると調べてくれました。蔵前の株式会社柴崎商店で取り扱っていました。商品名は「ぴょんぴょんカエルぴょ~ん」です。必要なのは2・3匹ですが24匹購入することにしましょう。


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8 コメント

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教え方 (なごみ)
2010-03-08 08:29:22
おはようございます。

まさに先日、長男(3歳半)にブランコの漕ぎ方を教えたところでした。
3歳を過ぎたころから保育園のブランコを一人で上手に乗るようになったので、気付かなかったんですが、園のブランコは座面が低いのでただ足で地面を蹴って、その反動で振れていただけでした。
一週間前、近所の公園のブランコに座っても漕げません。今までは私がサッサと手を差し伸べていたんですが、今回は次男を連れていたので、手を出せなかったのです。
教えなくても成長するにつれ自然と体で覚えるのでしょうが、手っ取り早く、前に来たら「足を出して~」下がったら「引っ込めて~」と声を掛けたら漕げるようになりました。
まさに「漕ぐ」でした^^

カエルのおもちゃ、川越の「菓子屋横丁」に売ってそうですね♪
返信する
ブランコを (ウシジマ)
2010-03-08 11:07:14
前回のキーキングにもコメントしたつもりでしたが、反映されたませんでした。そのまま、書きそびれていたので今度はこちらに。
カエルで実験、楽しそうですね。撮影は大変そうですが。
近かったらお手伝いに参上したいところです。
返信する
座板の高さ (271828)
2010-03-09 04:32:26
なごみさん おはよう

保育園のブランコの座板の高さが足りなかったようですね。座り漕ぎの場合は一番下で足先が地面につくと具合が悪いのです。
漕げるようになったことは大変な進歩ですね。その時の様子を覚えていたいですね。

カエルのおもちゃ24個は今日にも入荷する予定です。動画で紹介しましょう。
返信する
投稿 (271828)
2010-03-09 04:37:22
ウシジマさん おはよう

コメントありがとうございます。キーキングにもコメントを頂いたようですが、反映されなかったのは残念でした。[投稿]ボタンを押しても数字4桁が表示されたら認証が通らなかったのです。再度4桁を入力すれば通ります。

某メーリングリストでこのカエルブランコを作った人からルーズに作ればちゃんと動くと教えられました。寸法等も確認して挑戦します。
返信する
ゆらゆら揺れて (Husigidou)
2010-03-09 08:47:16
271828さん、おはようございます。

 投稿の4桁の数字、再入力がとても多いですね。一回で通ることはむしろ稀です。特にここでは。
 なぜでしょう。

 指先で糸を支えてブランブラン。やったことがあります。
 錘を直接支える方の手が揺れとともに動いてしまうので、テーブルを掴んでやったかな。
 カエル、5匹もいれば遊動円木の景色ですね。

なごみさん おはようございます。

 3歳半とは、すいぶん早いように思いますが。
 将来サーカスに売れそうな・・・。

 私も今、ブランコのフワリが苦手です。
 ゆっくりとした揺れにすごく弱いのです。
 子供の頃は大好きでしたが。
 大人になって、というより、いつ頃でしょう、ずっと後です。
 視力と関係があるかな、と思ったりします。
 だから飛行機も苦手です。
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認証 (271828)
2010-03-10 04:52:40
Husigidouさん おはよう

スパムコメントやトラックバックが多いので仕方ないと思いますが、お手数をおかけしております。

動画は高速度撮影も使いたいので色々方法を考えております。室内だと蛍光灯のフリッカーが気になることもあり、自然の光で行いたいです。
返信する
Unknown (なごみ)
2010-03-10 09:39:20
おはようございます。
保育園は0~6歳まで遊ぶ都合でしょうか。座面が低いので、大きい子は立ち漕ぎしています。
立ち漕ぎ、他のお母さんが叱っている所を見たことがありますが、園から禁止されているのかは不明です。
いけない事なのかな?とちょっと疑問。

Husigidou様

おはようございます^^
うちの息子、園では「回遊魚」と呼ばれているほど、体を動かす事が大好きなのです。
夫と義母が運動神経抜群なので、私はちょっと期待しちゃっています。
将来はシルク・ドゥ・ソレイユでも目指してもらいますか!

ふわりが怖いのは視力と関係・・・なるほど!
確かに飛行機も飛び立つ瞬間は怖いですね~。
レーシック手術したら、治るかも(笑)
返信する
立ち漕ぎ (271828)
2010-03-11 06:11:31
なごみさん おはよう

JPFAの安全規準では、幼児用でも着座部底面の最下点から着地面までの間隔は最低30cmとなっています。
これが狭すぎるとまともに座り漕ぎが出来ないでしょうね。元気なお子さんが立ち漕ぎするのは仕方ないでしょう。
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