![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/b9/b497d56340e39b2ffc18b18c9166b2de.png)
お恥かしい話ですが、福島第一原発の事故までは原子力発電について真剣に考えたことが無く、軽水炉の沸騰水型と加圧水型の区別さえ出来ませんでした。でも毎日TVで原子炉の断面図を見せられ、WEBで情報を仕入れる内に、原発の是非は別にして、工学的な興味が沸いてくるのは仕方がないことです。
工業製品を作るためには図面が必要で、線一本引くにも設計者は悩みます。必然性があると確信して一本の線を描くはずです。福島一号機の原子炉格納容器の下部が円環体(トーラス、torus)になっています。これがMARK-1の特徴で、MARK-2以降では円柱状になっていることも知ったばかりです。鉄工所の現場を少しでも知っている人ならば、トーラスを製作するのは難しいと思っているはずです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/fa/46e2f13a88f2af41e70c558fbccc4985.png)
最初はこのトーラスの材質を圧力容器と同じ特殊鋼(A302B)と思っていました。圧力はそんなに高くは無いと思っていましたが、それでも肉厚は20mm以上はあるだろう。造船のように撓鉄(ぎょうてつ)という技で曲げるのか、とてつもなくでかいプレスで曲げるのだろうか。それともでかいパイプを斜めに切断して円環状に溶接するのだろうか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/39/ed805477b450ecaeec82bc376bf6464b.png)
滑らかなトーラスに仕上げるためには分割数が増加し、それだけ溶接個所も増えます。溶接長が長くなれば溶接欠陥を見つける手間も増えるはずです。その大変さ加減を数値的に掴んでみたいと思ったのです。それで原子力百科事典のイラストを紙に印刷しておよその寸法を測ってみました。パイプの半径rは4m、上から見たリングの半径Rは18mと見積ました。式で書くと以下です。
x=(18+4*cos(v))*cos(u)
y=(18+4*cos(v))*sin(u)
z=4*sin(v)
このようにパラメータu,vで表すことが出来ます。滑り台ではスタート部、着地部で使います。
トーラスをwxMaximaのdrawパッケージで描くことはそれほど難しいことはありませんが、今回はトーラスの表面の曲がり具合、つまりこの曲面のガウス曲率を色で表現したいと思いました。使うのはenhanced3dとpaletteです。
グラフィックオプション: enhanced3d
デフォルト値: false
もしenhanced3dがfalseなら、3dプロットで表面は色付けられません。もしenhanced3dがtrueなら、 Gnuplotのpm3dモードを設定して表面が色付けられます。もし式がenhanced3dに与えられるなら、それはpaletteに従って色を割り当てるのに使われます; この式の中の変数は表面記述で使われるものと同じでなければいけません。
グラフィックオプション: palette
デフォルト値: color
paletteはグレイレベルを色成分上にマップする仕方を示します。 3Dオブジェクトでのオプションenhanced3dと一緒に機能します。 3Dオブジェクトは表面のすべての点を実数かグレイレベルに関連付けます。グレイイメージとも一緒に機能します。paletteによってレベルは色に変換されます。
ガウス曲率を表現する式をenhanced3dに与えることが出来れば、トーラスを曲率に応じた色に塗ることが出来るでしょう。最初に描いたのが以下です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/ac/77f985ca3e7e3c6b5c988c3523c25b45.png)
リングの内側は縮み、外周は伸ばされていることが視覚的に分かります。船体を設計するソフトではガウス曲率によって曲面を色分けする機能を持っているそうです。
さて一応は描けたのですが、3軸の比率を正しく表示したい、カットモデルを見せたいと思って少し改造しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1c/0b/6d46f9dae7221dd4c0c37b3a78a36714.png)
まずload(draw)$としてパッケージを読み込み、以下のように打ち込みます。(コピペします!)
draw3d(enhanced3d = cos(v)/(4*(18+cos(v))),
proportional_axes = xyz,
palette = [8,4,3],
parametric_surface((18+4*cos(v))*cos(u),
(18+4*cos(v))*sin(u),
4*sin(v),
u, 0, 3*%pi/2,
v, -%pi, %pi)) ;
トーラスのガウス曲率はパラメータvだけで決まり、uには依存しません。曲率0を白で、正を赤、負を青で塗りたいと思ったのですが、まだpaletteの使い方がイマイチなので、詳しい方にご教示をお願いしたいと思っています。
wxMaximaで色々実験しながら考えたのは、圧力容器の下(ドライウェル=空井戸)に水を入れたくない、炉心が溶解した時にデブリを水から離したい、これがトーラスを作りパイプで連結した理由かな、と思うことが出来ました。
使用済み燃料プールが上にあるのはハンドリング都合、また建屋をコンパクトにするためだったと思います。地表にあれば注水も格段に楽だったでしょう。
色々素人の憶測を重ねて来ましたが、このトーラス状のサプレッションプールは鉄筋コンクリート製で、これが強度を受け持ち、ステンレスの内張りだと知りました。それにしても欠陥なしにステンレスを溶接するのは難しいでしょうね。
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工業製品を作るためには図面が必要で、線一本引くにも設計者は悩みます。必然性があると確信して一本の線を描くはずです。福島一号機の原子炉格納容器の下部が円環体(トーラス、torus)になっています。これがMARK-1の特徴で、MARK-2以降では円柱状になっていることも知ったばかりです。鉄工所の現場を少しでも知っている人ならば、トーラスを製作するのは難しいと思っているはずです。
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最初はこのトーラスの材質を圧力容器と同じ特殊鋼(A302B)と思っていました。圧力はそんなに高くは無いと思っていましたが、それでも肉厚は20mm以上はあるだろう。造船のように撓鉄(ぎょうてつ)という技で曲げるのか、とてつもなくでかいプレスで曲げるのだろうか。それともでかいパイプを斜めに切断して円環状に溶接するのだろうか。
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滑らかなトーラスに仕上げるためには分割数が増加し、それだけ溶接個所も増えます。溶接長が長くなれば溶接欠陥を見つける手間も増えるはずです。その大変さ加減を数値的に掴んでみたいと思ったのです。それで原子力百科事典のイラストを紙に印刷しておよその寸法を測ってみました。パイプの半径rは4m、上から見たリングの半径Rは18mと見積ました。式で書くと以下です。
x=(18+4*cos(v))*cos(u)
y=(18+4*cos(v))*sin(u)
z=4*sin(v)
このようにパラメータu,vで表すことが出来ます。滑り台ではスタート部、着地部で使います。
トーラスをwxMaximaのdrawパッケージで描くことはそれほど難しいことはありませんが、今回はトーラスの表面の曲がり具合、つまりこの曲面のガウス曲率を色で表現したいと思いました。使うのはenhanced3dとpaletteです。
グラフィックオプション: enhanced3d
デフォルト値: false
もしenhanced3dがfalseなら、3dプロットで表面は色付けられません。もしenhanced3dがtrueなら、 Gnuplotのpm3dモードを設定して表面が色付けられます。もし式がenhanced3dに与えられるなら、それはpaletteに従って色を割り当てるのに使われます; この式の中の変数は表面記述で使われるものと同じでなければいけません。
グラフィックオプション: palette
デフォルト値: color
paletteはグレイレベルを色成分上にマップする仕方を示します。 3Dオブジェクトでのオプションenhanced3dと一緒に機能します。 3Dオブジェクトは表面のすべての点を実数かグレイレベルに関連付けます。グレイイメージとも一緒に機能します。paletteによってレベルは色に変換されます。
ガウス曲率を表現する式をenhanced3dに与えることが出来れば、トーラスを曲率に応じた色に塗ることが出来るでしょう。最初に描いたのが以下です。
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リングの内側は縮み、外周は伸ばされていることが視覚的に分かります。船体を設計するソフトではガウス曲率によって曲面を色分けする機能を持っているそうです。
さて一応は描けたのですが、3軸の比率を正しく表示したい、カットモデルを見せたいと思って少し改造しました。
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まずload(draw)$としてパッケージを読み込み、以下のように打ち込みます。(コピペします!)
draw3d(enhanced3d = cos(v)/(4*(18+cos(v))),
proportional_axes = xyz,
palette = [8,4,3],
parametric_surface((18+4*cos(v))*cos(u),
(18+4*cos(v))*sin(u),
4*sin(v),
u, 0, 3*%pi/2,
v, -%pi, %pi)) ;
トーラスのガウス曲率はパラメータvだけで決まり、uには依存しません。曲率0を白で、正を赤、負を青で塗りたいと思ったのですが、まだpaletteの使い方がイマイチなので、詳しい方にご教示をお願いしたいと思っています。
wxMaximaで色々実験しながら考えたのは、圧力容器の下(ドライウェル=空井戸)に水を入れたくない、炉心が溶解した時にデブリを水から離したい、これがトーラスを作りパイプで連結した理由かな、と思うことが出来ました。
使用済み燃料プールが上にあるのはハンドリング都合、また建屋をコンパクトにするためだったと思います。地表にあれば注水も格段に楽だったでしょう。
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