Mayumiの日々綴る暮らしと歴史の話

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◆メキシコ 麻薬戦争の主役 『ロス・セタス』

2018-01-16 05:06:33 | Weblog

*殺された人の体には「Z」が刻まれる
 2013年7月、メキシコ当局が1人の男の逮捕を発表した。ミゲル・アンへル・トレビーニョという名のその男は、メキシコで最も凶悪といわれる麻薬組織ロス・セタスのリーダーである。ロス・セタスは、メキシコ東部を中心に勢力を伸ばして来た麻薬組織だ。そのリーダーであるトレビーニョにはアメリカ国務省も高額の懸賞金をかけて行方を追っていた。
メキシコ当局は海兵隊を投入し、アメリカ国境付近でトレビーニョを拘束したのである。
数ある麻薬組織の中でロス・セタスを際立たせているのはその凶暴さと残虐性だ。敵対する麻薬組織や警察関係者は残忍な手口で殺され、その遺体には「Z」(Zetas)の文字が彫られる。
首や手足を切り取られた遺体は、まるで禍々しいオブジェのように道路に放置されることになる。
もちろん、裏切り者にも容赦はしない。本人だけでなく家族までもが皆殺しにされ、その殺人の様子や遺体はインターネット上に動画として公開されるのである。目を覆うような残酷なシーンや、見せしめのように置かれた犠牲者の遺体の画像がネット上に溢れているのだ。

*最初のリーダーは軍特殊部隊の隊長
 ロス・セタスがここまで冷血な行為を繰り返すのは、その成り立ちにも関係がある。ロス・セタスは元々麻薬組織ガルフの軍事部隊として創設された。当初、ロス・セタスを率いたのはアルトゥーロ・グスマン・デセナ大尉だ。デセナ大尉は対ゲリラ戦に備えて訓練を受けたメキシコ軍の特殊部隊GAFEの元隊長である。彼は元同僚や部下を高額な報酬で引き抜き、高度な戦闘力を持った組織を作り上げたのである。その戦闘力の高さは、アメリカ政府も危機感を抱いたほどだ。
そうして麻薬組織間の抗争で存在感を発揮して来たロス・セタスは、次第にその勢力を拡大し、遂にはガルフと対等な麻薬組織としての存在を認められることになる。

*収まる気配のない麻薬戦争
 麻薬組織と政治家・警察の癒着も取り沙汰されるメキシコの闇は深い。その腐敗体質はこれこそが、麻薬組織が強大化する原動力となっているのだ。
20062年に就任したメキシコのフェリペ・カルデロン大統領は、国内に蔓延る麻薬組織に対して全面的な対決姿勢を打ち出した。軍隊を動員して麻薬組織の一掃を図ったのである。
当然、それに対する麻薬組織の抵抗は激しく、以降の犠牲者は組織関係者、警察当局など合わせて5万人以上とも言われる。
2012年にはメキシコ北東部の幹線道路で49人もの遺体が発見された。そのほとんどは、頭部や手足を切断されていた。そのうち6人は女性で、現場にはロス・セタスの犯行声明が残されていたと言う。その後も高速道路の陸橋から吊るされた遺体が見つかるなど、その残虐性は一向に収まる気配がない。麻薬戦争を取材するジャーナリストもその標的となっている。
メキシコでは2006年以降、少なくとも45人の記者が殺害されたり、行方不明になっている。
凶悪で残忍なロス・セタスは、今回のトレビーニョの逮捕で勢いを弱めるのだろうか。残念ながら、それはあまり期待できない。トレビーニョの前のリーダー、エリベルト・ラスカノがメキシコの治安部隊に射殺された後も、組織が弱体化することはなく、内部抗争や他の麻薬組織との争いを繰り返しながら勢力を増しているのである。たとえリーダーが逮捕されても、ロス・セタスはより凶悪な組織としてメキシコの裏社会に君臨し続けるのである。

*画像
 2011年、逮捕されたロス・セタスのメンバーと押収された武器

 2011年8月にはカジノ・モントレイ・カッシーノが襲撃され、52人が殺された。
 現場には、犠牲者の数に妊婦のお腹にいた赤ちゃんの分を足した53の十字架が立てられている

             



                                本当に恐ろしい地下組織
                                  力で人を制圧する反社会集団

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