太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

察してほしい断り下手

2018-01-07 15:38:40 | 日記
私は、れっきとした「NOと言えない日本人」だと思う。

誘いを断るのが、まったくもって苦手である。



前の職場で同僚だった人たちと、カラオケに行ったことがあった。

同窓会だね、と言って盛り上がったのはいいが、実際にはあまり楽しくなかった。

幹事的なことをやってくれたL(男性)が、私にカラオケの日時をテキストで知らせたつもりが届いておらず、

私は前日まで、カラオケは行われないことになったのだと思っていた。

ひょんなことでカラオケをやることがわかり、急遽、私は参加したのだけれど、

Lはテキストを送ったと言い張り、私はテキストの履歴を見せて証明するのもばかばかしくなり、

しかしとうとう謝罪の言葉もなかった。

そのへんでケチがついた上に、実際カラオケは、Lがほぼ一人で歌い続け、

最後に割り勘の段になって、Lが素早く自分の分のお釣りをキッチリとったのを見て、完全にガッカリした。

みんなと顔見知りであった私の夫も連れていったのだが、こういうとき、夫は他の人より余計にお金を払う。

たとえ見得でも、私はそういうキップのいい人が好きだ。

Lは好感を持っていた人だけに、そのガッカリ感は激しかった。



年末近く、Lからテキストがあった。

またあの仲間で集まって、なにか楽しいことをやろうと思うんだけど何がいい?というのだ。

参考に上がった日時がふたつあるうち、1日はクリスマスパーティがあり、

残りの1日は翌日仕事だから夜は出かけたくない、と言って断った。

翌日仕事だから出かけたくないのは本当だが、クリスマスパーティは嘘だ。

『行きたくないから行かない』と言えたら、どんなにいいだろう。

こう言ったら相手はどう思うだろうか、などと考えずにサラッと本音を言ったら

案外サラッと受け流してもらえるものかもしれない。

そもそも、相手がどう思うかを一晩考えたところで、相手でなければわからないではないか。

それなのに、私は適当な嘘をついて断るしかできない。



昔、日本で同僚だった女性Hさんはさっぱりした性格で、私は彼女のことが大好きだった。

あるときHさんはタケノコをたくさんもらったので、近所の家におすそ分けに行ったのだそうだ。

「そうしたら、タケノコならうちにもあるからいらないわ、って断られちゃったのよ、あはは!」

笑っているHさんにも驚いたが、あっさり断った奥さんにも驚いた。

私がHさんだったら、せっかく持っていったのに断るなんて、と思うだろうし、

たとえタケノコがたくさんあったとしても、私ならそれを言わずに頂いておくだろうと思ったからだ。

いい人だと思われたい、という気持ちもあるが、

自分で自分のことをいい人だと思っていたい、というのもおおいにある。




Lからは、それからもちょくちょくテキストが来る。

『行きたくないから行かない』と言うのと

適当にごまかして、断っているこっちの心を察してよ、と思っているのとどっちが酷いかといえば、

後者かもしれない。

気のおけない友達なら、「気がすすまないなあ」と言えるような気がする。




日本企業とのつきあいかたとして、アメリカ人が学ぶのは、

「お返事は後日」「社で検討して」「いいお話ですが今はちょっと」

という曖昧な表現は、ほぼ「NO」という意味だと思え、ということらしい。

さっさとNOと言えるアメリカ人は、言葉の額面どおりに受け取るから「察してほしい」というのは無理だ。

Lはアメリカ人だから、「行きたくないから行かない」と言ってOKなのかもしれないが、

それでは日本人としての私の心がうまくない。



全部本音で生きられたら楽かもしれない。

裏も表もない、わかりやすい人間でいられるかもしれない。

でも、本音を言いたくないというのも実は本音なんじゃないか、と私は思う。

私は二重の本音の狭間で、これからも断り下手で生きてゆくのだろうか。










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