ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

若干矛盾する自らの立場―「加算」議論をめぐって

2009年03月18日 | 社会福祉士
 私は利用者サイドに立った介護保険制度に関する研究者という位置と、(社)日本社会福祉士養成校協会の会長として社会福祉士の社会的な地位を高めていこうとする位置が、少々矛盾することを感じている。

 研究者の立場からは、介護報酬改正で、加算を作ることを真正面から否定はしていないが、今回の介護報酬改正で40を超える加算制度を作り、複雑な制度になったことで、負担する利用者には分かりづらい制度になったこと、一方、事業者は加算をいかにとるかにエネルギーが注がれ、その根底に質の高いケアをすることで加算が得られてという本質を見失いがちである。

 一方、社養協の会長としては、今回の介護報酬改正で、介護福祉士が一定の比率以上配属している場合に、多くのサービスで加算が付いたが、社会福祉士については全く出てこなかったことから、ある意味、介護福祉士がうらやましかった。

 そこで、会長としては、次の三年先の報酬改正に向けて、社会福祉士という言葉が報酬の中に加えられるよう戦略を練りたいと思っている。例えば、介護保険施設の相談職員が社会福祉士資格をもっていれば、加算せよとのことは思っていないし、そんなことでは加算は取れない。また、政治力等でとったとしても、利用者や事業主から評価が得られず、加算は直ぐに消えていく運命にある。

 そのため、利用者からは質の高い生活が出来るようになったという評価を得、事業主からは、チームワークができ、職員の離職率が低くなったという評価を得、さらに利用者や事業者の両者から退所者が増えたことを評価される、社会福祉士を作ることで、加算を獲得したいと考えている。このためには、様々な仕掛けを作り、様々な団体への根回しをし、その上で、現状の社会福祉士の再教育を徹底して行っていくしか道がない。

 社会福祉士に対するこのような思いを進めていきたいが、加算を作ることで、制度を複雑にするという基本的な部分では矛盾している部分がある。ただ、本当に利用者に有効な場合には、やむお得ないと考えており、研究者としての考えと会長としての思いが、かすかな糸でつながっていると思っている。