ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

訪問入浴介護の介護報酬改正の疑問

2009年03月02日 | ケアや介護
 先日、仙台で第44回全国入浴福祉研修会が開催された。私自身も委員をしているデベロ老人福祉研究所が主催ということであり、講師として参加させていただいた。

 講演のテーマは、「訪問入浴サービスとケアマネジャーの連携について」ということであり、訪問入浴介護計画を作成し、モニタリングのもとで、計画を修正していくことが、ケアマネジャーとの連携を進めていく基本であることを提案した。

 訪問入浴介護計画は介護保険法では義務づけられていないが、介護サービス情報の公表制度では、作成の有無が調査項目の1つとなっている。訪問入浴サービス利用者の特徴は、医療ニーズの高い、要介護が重度の人であることを考えると、他のサービス以上に計画作成が重要であることを指摘した。

 その際に、訪問入浴介護の今回の介護報酬改正についての問題点も指摘した。訪問入浴介護の収支差率の特徴としては2点がある。第1のポイントは、月当たりの累積利用者数が160回以下では赤字であり、161回以上になれば、黒字に転換していくことになる。その意味では、月当たりの利用者数を増やすことが、経営的には大切なことである。

 第2のポイントは、地域区分での収支差率についてである。表に示してあるように、居宅介護事業全体の特徴としては、確かに特別区で赤字が多く、都会ほど赤字になり、田舎では黒字になる傾向が見られる。そのため、今回の改正では、施設・居宅を合わせた全ての事業について、特別区で報酬単価を12%から15%に、また乙地は3%を5%にアップすることになった。

 ただ、表からも分かるように、訪問入浴介護の地域区分での特徴は、「その他」地域といった田舎では黒字幅が薄く、特別区では厚くなっている。この理由は、田舎では、利用者数が少なく、移動時間に時間がかかるため、1日の派遣回数が少なくなることにあると考えられる。その意味では、訪問入浴介護は夜間訪問介護とよく似たサービスであり、都会では田舎よりも有利に経営できるサービスであるといえる。

 その意味では、訪問入浴介護では、他のサービスと逆に、「その他」といった田舎部分で地域係数を高くするべきではなかったのか疑問に残る。とりわけ、「その他」での事業者数が訪問入浴介護事業者の7割を超えていることを考えると、一部の都会では確かに経営が一層安定することになるが、多くを占める田舎では、介護報酬改正で大きな変化は望めないと予想する。

 訪問介護では、中山間地域で事業を実施する場合には、介護報酬単価を5%アップすることになっている。さらに、そこで訪問入浴介護の回数が月20回以下であれば、介護報酬を10%アップすることになっている。前者の理由は、移動時間がかかることを考慮したものであり、訪問入浴介護の場合には、この中山間地域から「その他」地域まで連続するものとして評価すべきでないかと考えている。

 訪問入浴介護については、どの組織がこうしたことについて介護給付費分科会に要望をだしていくのであろうか。