
「豈」「連衆」同人
『神器に薔薇を』に続く、早くも第2弾の手作り句集。
「足跡確認」的編集になっていて、俳句誌掲載順。
人に読ませようとする句集なら、
この編集では少し不満がのこるのは私だけかな!?
夏木久第2句集『笠東クロニカル』より共鳴句
5 日の丸の裾で汗拭く老教師
7 仰角を妣に甘えり雲の峰
11 墓石よりはらりと蝶のはがれたり
15 案山子笑む証明写真撮る最中
16 実柘榴の失笑買ってをり真顔
さざんかや言葉散らかる勝手口
18 菜種梅雨煮崩るやうに父母の墓
戦争が回転寿司のやうに梅雨
19 鯨幕つまみ眼鏡をふくダリア
21 疲れ目に入り狐火出て行かず
冬銀河どれほど髭を剃ったやら
22 風待ちや吹奏楽隊は焚火して
24 束の間へ通されてをり麦の秋
27 病床やそっと林檎の尻を撫で
28 天の川なほも言葉は抱卵期
哺乳瓶ふれば吹雪の紐育
一畳の枯野に酒はニ合半
36 豆腐屋の辻より海市町内会
38 日の丸の孕み具合が南風忌
44 にほんごのゆげもおこげもひとまろき
46 残る鴨サラリーマンになると言ふ(一番印象に残りました!)
47 物干しに春月垂らす父となり
51 花吹雪く回転木馬の初速にて
52 さくじつのうつつはくもりのちアヤメ
61 ほたるふりつもるはなしをすとくいん
64 菜の花を探しにゆけば試着室
息継ぎが下手で音痴で水中花
遺跡より言葉のあふれをり文月
72 すこしづつすべてくるひて春立てり
76 可燃物となりし彼女を蛍の夜
78 って言ふかと書けばどうとふ女郎花
79 底なしの空そこはかと神の旅
湯豆腐や乾く話に水をかけ
80 聖樹点くまで消火器の独り言
夏木俳句を読むと、鑑賞するにも俳句を書くにも、
既成概念に囚われない意識変革が必要だなという気持ちにさせられ、
大変勉強になります。
夏木さんはこのあとどのように展開されるのでしょうか。
次の句集は2年後だそうで、
もうすでに走り出されているようです。