抜かない歯医者のひとりごと

歯の健康は全身の健康につながる。渋谷で開業中の保存学認定医が、なるべく歯を抜かない治療にまつわるトピックを語ります。

できるだけ歯を抜かないことへの、新たな拘り…。

2014-11-06 | 歯科治療

できるだけ歯を抜かないことへの、新たな拘り…。

(医学的評価と医者からの励ましも得て)



    私の書いた【幻冬舎新書】と、
  (この拙いブログの記述もあり、)

 多くの人が、
 やたらに、歯を抜いて(抜かれて)いる現実を、
  改めて、再認識しました。

私の所には、ほぼ全国から(大学病院も含めて)「残すのは、難しい。」と診断された人が来ます。(相談も含めて。)

とりわけ、地方、それも田舎の人ほど、悲惨ですが…。


  さてさて、またもや、また、《歯科大学の酷い診察を受けた患者さん》が私の所に来ました。     (ある意味、犠牲者です。)
《東京なのですが。》


 10年近く通っている歯科医院で、4年前に終わった歯、金属を被せた歯が二本(歯)が腫れたということでした。

  上の小臼歯と、下の奥の歯です。

  で…
 「うちでは、よく治せない、少なくとも、
  抜かずには治せないので、
   大学病院に行ってください。」
   ということで、


  昭和大学の歯学部の口腔外科に紹介されたのです

 (真面目に記するので、 昭和大学歯学部の大学病院、と実名を出させていただきます。)

  それで、昭和大学で、CTを撮って、

 「上の小臼歯は抜きます。
  下の奥歯は、残すには、膿の袋を取る手術をしなければならないので、
  一泊か二泊入院してください。」
 と言われたというのです。
 で、その患者さんは、(30代の女性です。)

 「あの、歯を残す方法は、それだけしかないのですか?」
 と聞いたら、


 その昭和大学の歯医者は、
 「そうですね…。私は外科ですし…。」
 と、答えたそうです。


 で、私の所に駆け込み、私の診察を受けたのです。

  まず、ここで、まず考えられないのが、
  昭和大学のその歯医者が、
   歯を残す専門の、
 保存科の歯医者と相談、連携をしてないことです。

 私も大学病院で教え、診療もしてましたから、その昭和大学の口腔外科の歯科医の対応の酷さが実感できます。


  【まず、医科ではあり得ない対応です。】

  癌の診察、診断、治療方針ひとつにしても、
 内科と外科の連携が必要不可欠です。

 《もちろん、医師の能力、病院の体制には、正直、差はあります。》

 だから、【内科と外科の連携がしっかりした病院を、まずは選択しろ。】
 と言われます。


  歯科でも、同様なのです。

口腔外科と、(言うなれば内科の)保存科と連携しないなんて、
  問題外、言語道断、
 (非常識とも、私には思えます。)


  不親切、不誠実です。
 通常、医科ではあり得ない対応です。


 《癌なら、死に直結するけど、
 歯は死なないし、…抜けばいいか… …。》と考えているとしか思えません。

  第一、
 この昭和大学の口腔外科の歯科医は、
 《CTだけ見せて、二度の診察で、
 その患者さんの口をさらりと見ただけで、

 歯を口を一度も触らなかった、触診しなかったというのです。》


  私は、まず、患者さんの口、歯を、
 見て、観て、診て…
 触って、

 直接、歯はもちろん、口腔内を触診します。


 で、噛み合わせの音も聞いて、

  口のにおい、(治療中なら、歯のにおいも)嗅ぎます。


  とにかく、
 昭和大学の対応は問題外としても、

  昭和大学を紹介した、かかりつけの歯科医院の対応もおかしいです。

 4年前の自分のした治療を、
 《治療しなおすことなく、

   レントゲンだけで、
 昭和大学の歯学部、
 それも、口腔外科に丸投げしたことです。》


 【まずは、きちんと治療して、その結果、
  その歯を残せない、    自分には難しいと診断したら、

  大学病院なりに紹介するのが筋です。
 『抜かなくても済むなら』と、紹介状に添えて。】


 それを、
 結果、CTだけ見せて、
 「小臼歯は残せません。  下奥の大臼歯は、
 残す、抜かないのなら、手術だ、入院だ…。」
 なんて、メチャクチャです。


  患者さんだって仕事もしてるし、たいへんです。

 【誤解を恐れず言えば、その程度の歯の病気で、入院することはありません。

時間と金の無駄です。】

 まずは、治療して、
 そうなるのなら、許せますが。

  《二度とも、CTを見た、見せただけで、
 入院を指示する。》
なんて…

要は、なんにもしないで入院を指示したわけです。


まあ、医科では考えられません。


 だから、歯科は駄目なんです。
 ナメラレルのです。

 医科の下に置かれるのです。

 《歯医者は医者でないと言われるのです。》


  私は、まず、残らない、残せないと診断?された、

上の小臼歯を、治療しなおし、(歯内治療です。)

{例によって、直径0、1ミリの針から、歯の神経に合わせ、計り、その神経(歯髄)に、慎重に通していくのです。

集中力のいる繊細な施術です。}


 二度目には、その歯を残すべく、
 抜かない手術(歯肉を剥がし切除して、骨再生手術)をしました。


  で、残すのなら、入院すると言われた下の奥歯の方は、

  【とにかく、まずは私が治療しなおすから、
  入院するのは止めて、
 とりあえず、断りなさい。】
と、説明、指示しました。


【私も、CTを診て、
 とにかく、直接、治療しなおしますから。と。】

 10年かかりつけの歯科医院も(4年前に自分が治療した歯を、

 《なんにもしないで、     抜く、残らないと、
 大学病院に丸投げして、

 紹介された大学病院の歯科医師も、
  なんにもしないで、     1本(歯)は、抜き、   1本(歯)は、
 入院を勧める。》


  【おそらく、間違いなく、

私は、2本(歯)とも、
  抜かず、(もちろん)   普通に噛めるように治せるという自信と読みと、自負はあります。

(医学的にも)そう自負しています。】


 その勉強と、日々の修練と、治療技術(スキル)は磨いています。

 (それはそれは相当の、息苦しい位の、プレッシャーと、
 時に、大きなストレスはありますが。)

  よく見て、観て、診て、聴いて、嗅いで、直接触って、(舐めることはまずありませんが)


 【五感を駆使、集中して、…プラスアルファー、
 その第六感を加えて。】

昭和大学の歯科医師は、個人の資質もあって、
 (私は、昭和大学の優秀な歯科医師もたくさん知ってます。)

 そんな不誠実な対応をしたのでしょう。

  しかし、他科との連携もせず、
 ただCTを見るだけでは、

 患者さんはもちろん、
紹介する方もたまったものではありません。

  患者さんはもちろん、  信頼して紹介もできません。

  患者さんはもっとたまったものではありません。  《患者さんは犠牲者です。》


  昭和大学歯学部においては、3~4年前、
 歯科医師会が、紹介するにあたり、
「もっと、しっかり受け入れ体制を整え、学生から教育を厳しくして欲しい。」

と申し入れた、という話を聞きました。


 昭和大学歯学部の方も、学部長等、真面目な上の人が、てこ入れをする、
 と応えたといいます。

  まだ、浸透していない部分があるのでしょう。
  [東京歯科大学等は、かなり、厳しい勉強を課していると聞いています。]

 不誠実な人がいると、真面目な優秀な(目立たない地道な)学生が、その煽りを食らうのです。


… 思うに、(何の治療もされず、CTなり、レントゲン写真だけで、)

紹介した歯科医院を信頼し、

 大学病院の指示に従って、
  《もちろん、普通は大概、間違ってないのでしょうが、》…今回のようなことはレアケースなのでしょうが、…

とはいえ、
 そのまま、歯を抜いて(抜かれて)

  (時には入院?までして)歯を失う、失っている人もたくさんいるのだろうなあ… …。

 と、考えると、なんか、そら恐ろしいものがあります。


  私は、最先端の歯科治療と称して、
  大学病院の歯科や、
 何か高そうな開業医や、
  《なんとかデンタルオフィスやらが、》
 テレビや雑誌等で紹介されているのを、時に見ます。

 それも、歯の大切さをアピールするのに、必要で大切でしょう。


 しかし、大学病院は、とりわけ、歯科は、

 教育、人材育成こそが、最重要な課題だと思います。

 【優れた人材こそが財産なのです!】


    {アメリカでは、歯を残すのとインプラントは、ほぼ同額です。}


但し、アメリカはお国柄保険制度が貧弱で、格差がヒドイので、

 金のない人は、歯を抜いたままか、
   格安の入れ歯をカシャカシャはめてます。

  日本の保険制度はしっかりしていますが(徐々にアメリカみたいになっていますが。)


  歯科の保険は医科の半分位です。

   《歯を残す治療と、インプラントでは、40倍以上の差です。》


   手間暇と、ストレスもプレッシャーもある歯を残す治療より、

 抜いた方が、コスト的にも、ずっと楽です。

で、治療技術(スキル)がなければ、大学病院に紹介です。


   大学病院の方も、(大学病院の名のもとに、
 やはり、抜く方が手っ取り早いです。

大学病院の方も、インプラントは稼げますし。

 (歯科の保険点数は低いので、大学病院でも採算が合いません。)


   人間、そこに銃があると打ちたくなるように、
  《そこにインプラントがあると歯を抜きたくなることもあるのです。》

  私もそうですが、ヤってみたいとか、野心とか、色気とか、誰にでもあると思います。

   もちろん、(私など、そこらの凡人ですが、)   概ね、大多数の歯医者は、真面目に真摯に(紳士的に)治療に取り組んでいます。


   ただ、まあ、中には、見識のない人もいるわけです。


   私の所には、(相談、セカンドオピニオン、それなりの悩み、歯科医への不信感を持っている人が、)来院してくれるのですが、


 【なかには、普通の、ごくごく普通の通常の治療をしていれば、抜くことはあり得ないというレベルの人も、少なからずいます。いるのです。】

 開いた口がふさがらないレベルの人も。


  遠くから来てくれる人も多く(恐縮します。)  「本当に、《抜きます》と言われたんですか?」  と、何度も何度も
再三確認するレベルの人も。


 【ああ、其なりに、満足している人は、このレベルの何でもない歯を抜いて(抜かれて)いるのか。】


―多くの人が… …知らぬ間に。残る歯を…歯をなくしているんだ。
抜いて(抜かれて)いるんだ……!

 溜め息です。


  【でも、信頼関係も不可欠だし…

正直、本当に悩みます。悩んでいます。】


(閑話休題)
 さて、私の拙著、宣伝して、すみません。

【幻冬舎新書】ですが、

 医学部、歯学部、また医者、歯医者の友人、知り合いは言います。

…「サイトウの本だけど、医科と違って、歯科は狭いし、狭量な世界だから、

     サイトウの本にあまり反応しないんだよ。


 アンチ巨人も巨人ファンのように、
   サイトウの本が読まれない(売れない)方がいいからさ。

  要は、反応せず、当たり障りなく…

 無視してた方が… …。
 サイトウの本が読まれないからな。」

 私はインプラントを全否定するものではありません。

  しかし、雑誌に(広告料もそれなりでしょう。)
  インプラントの宣伝は多々、見受けられます。
   真摯にインプラントに取り組んでいる人は、実際、(反論はあっても、)

  私の本も理解してくれてます。

  ただ、【インプラントは最終兵器です。】
  義歯の仲間です。
(コンタクトレンズがメガネの仲間同様に。)


 認知症になったら、インプラントのケアはたいへんです。{インプラントは悪徳歯科医のドル箱です。}

  義歯も良くなっているのです。


 こんな詩の一節が思い浮かびます。(蟷螂の斧ですが。)

【目的に向かって走るのが人間の速度なら、
    使命に向かって走るのが人間の魂だ!】


 私はできるだけ歯を残します。
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