都心に近い新築マンション「アドヴァンス・ヒル」の住人たち、進学校に入学して成績がガタ落ちになり落ち込む1階に住む高校1年生の宮原奏人、子育てのために好きだった仕事を辞めたことを後悔しママ友たちとの関係に悩む2階に住む35歳の樋村紗羽、耳の不調に悩み耳管開放症と診断され入社3年26歳で休職している3階に住むウェディングプランナーの新沢ちはる、運動が嫌いで駅伝大会の選手に選ばれないように捻挫を装ったら本当に足に不調を来して困惑する4階に住む小学4年生の立原勇哉、老眼が気になるようになった5階に住む52歳の雑誌編集長溝端和彦らが、近くの「日の出公園」にあるカバのアニマルライドの自分が治したい場所と同じ場所を触ると回復するという話を聞き、思いをはせ癒やされ自分と周囲の人の関係を見つめ直していくというほのぼの系の短編連作。
タイトルからは、「リカバリー・カバヒコ」と名付けられたカバのアニマルライドがキー・パースンのように見えますが、実質は公園近くの「サンライズ・クリーニング」店を夫の死後年中無休で続ける80歳の溝端ゆきえの存在とその語りがポイントになっています。また、それぞれの話の中で、話者(視点人物)と溝端ゆきえ以外に1人同年配の人物の意外な面に気づくというパターンが踏襲され、いい読み味につながっていると思いました。
青山美智子 光文社 2023年9月30日発行
「小説宝石」連載
2024年本屋大賞第7位
タイトルからは、「リカバリー・カバヒコ」と名付けられたカバのアニマルライドがキー・パースンのように見えますが、実質は公園近くの「サンライズ・クリーニング」店を夫の死後年中無休で続ける80歳の溝端ゆきえの存在とその語りがポイントになっています。また、それぞれの話の中で、話者(視点人物)と溝端ゆきえ以外に1人同年配の人物の意外な面に気づくというパターンが踏襲され、いい読み味につながっていると思いました。
青山美智子 光文社 2023年9月30日発行
「小説宝石」連載
2024年本屋大賞第7位
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