伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

日雇い派遣

2007-10-18 09:07:02 | ノンフィクション
 労働者派遣業法で禁じられていないということでまかり通る「登録型派遣」が対象業種の緩和で製造業も原則OKとなったことで肉体労働の「日雇い派遣」が盛んになっている現状をレポートしたノンフィクション。
 派遣というと何か聞こえがいいけど、山谷や釜ヶ崎で手配師が行っていた人足集めが登録型派遣と携帯電話で行われるようになっただけ。派遣対象外の建設現場や警備業務への派遣や、派遣会社が2つ以上介在する2重派遣など法律違反が横行し(19~21頁、31頁など)、派遣会社のスタッフも現実の業務内容を把握していないから仕事の内容も行ってみなければよくわからないとか話が違うこともままある(例えば91~94頁)とか全くの素人に避難誘導の業務を指示したり(98~99頁)いかにも無責任な現場の状況がよくわかります。
 日雇い派遣最大手のグッドウィルでは日給がランクによって異なり5ポイントで降格する仕組みで、当日連絡した上での欠勤が4ポイントの上に次回勤務時の交通費1000円自己負担だそうです(85頁)。事実上の罰金だし、体調が悪くても無理して働けということですね。
 1日数千円のペイから200円のデータ装備費(グッドウィル)、250円の業務管理費(フルキャスト)を控除する派遣会社の強欲ぶり。問題になるとフルキャストは全額返還することになったのに、グッドウィルは会長が全額返すと記者会見で言ったのに実際には全く返還しない(128~144頁)という話も驚きます。
 労働者派遣業法ができたときから悪くするとこうなると言われていた通りの(それよりも悪い)事態がやはり現実化しているわけです。政治家・官僚がやるべき仕事は、労働の規制緩和ではなく、こういう悪辣な事業の禁止だと思うのですが。


派遣ユニオン 旬報社 2007年9月10日発行

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 偽装雇用 | トップ | 破壊事故 失敗知識の活用 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ノンフィクション」カテゴリの最新記事