民俗学者柳田国男が、遠野出身の学生佐々木喜善から聞き取った遠野の民間伝承をとりまとめ、民俗学をスタートさせた記念碑的作品。
個人的には、すでにおぼろげな記憶となっていますが、高校の現代国語の先生が柳田国男ファンで柳田民俗学を熱く語ってくれて、なんとなく柳田国男は食わず嫌いしていて、これまで読まなかったのですが、今回、カミさんと花巻・遠野旅行をすることになって、慌てて読みました (^^;)
女・子どもが簡単にさらわれて行方不明になる話が多く(宮澤賢治の「グスコーブドリの伝記」でもブドリの妹ネリがさらわれ、私はそのシーンにいつも涙を禁じ得ないのですが)、弱肉強食の世での庶民の悲哀を感じます。
読んでいて一番感じたのは、物語として見たとき、勧善懲悪の話がとても少ないこと。私の印象では、63番の山中の不思議な立派な家(マヨヒガ)に迷い込みながら何も持ち出さなかったために後日手元に赤い椀が流れ着きその椀を使って米を量ると米がいつまでも減らなかったという話くらいです。ただ不思議な思いをした、怖い思いをしたという話が多くありますが、特に悪いことなどしていないけど不条理に被害に遭い、悪いことをしても特に罰を受けずにいるという話も淡々と語られています。説教くさい話は受けが悪く伝承されなかったということでしょうか。庶民の強さ、したたかさを感じます。
新潮文庫で、2016年6月1日発行なのですが、元々古くから新潮文庫で出版されているのに、「新版」とか「新装版」とかの表示もなくこのような表記になっているのはどうしてでしょう。
柳田国男 新潮文庫 2016年6月1日発行
個人的には、すでにおぼろげな記憶となっていますが、高校の現代国語の先生が柳田国男ファンで柳田民俗学を熱く語ってくれて、なんとなく柳田国男は食わず嫌いしていて、これまで読まなかったのですが、今回、カミさんと花巻・遠野旅行をすることになって、慌てて読みました (^^;)
女・子どもが簡単にさらわれて行方不明になる話が多く(宮澤賢治の「グスコーブドリの伝記」でもブドリの妹ネリがさらわれ、私はそのシーンにいつも涙を禁じ得ないのですが)、弱肉強食の世での庶民の悲哀を感じます。
読んでいて一番感じたのは、物語として見たとき、勧善懲悪の話がとても少ないこと。私の印象では、63番の山中の不思議な立派な家(マヨヒガ)に迷い込みながら何も持ち出さなかったために後日手元に赤い椀が流れ着きその椀を使って米を量ると米がいつまでも減らなかったという話くらいです。ただ不思議な思いをした、怖い思いをしたという話が多くありますが、特に悪いことなどしていないけど不条理に被害に遭い、悪いことをしても特に罰を受けずにいるという話も淡々と語られています。説教くさい話は受けが悪く伝承されなかったということでしょうか。庶民の強さ、したたかさを感じます。
新潮文庫で、2016年6月1日発行なのですが、元々古くから新潮文庫で出版されているのに、「新版」とか「新装版」とかの表示もなくこのような表記になっているのはどうしてでしょう。
柳田国男 新潮文庫 2016年6月1日発行
イソップ物語ほどではないにしても、日本の民話でも、さるかに合戦とか、かちかち山とか、花咲かじじいとか、舌切り雀とか、勧善懲悪的な話がわりとあるので、そういうものかなと思っていましたが、意外でした。