伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

個人情報「過」保護が日本を破壊する

2007-03-07 08:18:36 | 人文・社会科学系
 個人情報保護法が保護対象の情報を拡げ過ぎ例外が狭い悪法だということを論じた本。
 私も個人情報保護法はまじめに守ることがかなり困難な法律だと思っていますし、学校や同窓会の名簿もやめるとかいう過剰反応や個人情報保護法を口実にした行政の情報隠蔽には困ったものだと思っています。
 ただこの著者は保護対象はプライヴァシー権の範囲に限定してプライヴァシー情報はきちんと守るべきといいながら、住所や電話番号、メールアドレスはプライヴァシーではないとか、犯罪防止のために防犯カメラをどんどん設置すべきとか言っていてそういう主張には閉口します。
 著者はプライヴァシーは守れということと企業の正当な経済活動(勧誘・営業活動)を並べていますが、本音は営業活動のために住所や電話番号は自由に使わせろということにあると読めます。著者は個人情報保護法は保護対象となる情報を拡げ過ぎと執念深く言い続けていますが、企業の営業活動のおかげで多くの人びとが知らない企業から大量のDMが来る、執拗な無差別電話勧誘に会うという経験をして嫌な思いをし、その苦情が集積して住所や電話番号も保護対象となることになったのだと思います。今時、自宅の住所や電話番号は、プライヴァシー権の定義で考えても、普通人の感受性を基準にして公開を欲しない情報になっていると思いますよ。著者の擁護する企業の営業活動が執拗に行われた結果として。


青柳武彦 ソフトバンク新書 2006年10月30日発行
コメント
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