形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

田沢湖

2011-11-07 16:17:47 | Weblog

去年の十月、秋田県の田沢湖に一人で行った。 
ほんの少し前のような気がしていたが、あれからもう一年たつ。

夏に妻の遺品を整理していると、すっかり忘れていたアルバムが出てきた。 
新婚旅行で行った、田沢湖で撮った写真のアルバムだった。
ところどころに、妻の小さな字で簡単な説明が書いてあった。

私のそばで微笑んでいる写真、その背景が田沢湖のどこなのか、
知りたかった。 もう一度その場所に行ってみたかった。



仙台研修の帰り、田沢湖まで足をのばして泊った。
地元の人なら写真の場所を聞けば、きっとわかるだろうと思い、
泊ったのは田沢湖の民宿だった。 駅前でレンタカーを借り、
宿に着いたときはもう暗くなっていた。

宿は東北らしい素朴な民宿だった。
夕飯のとき、持っていった写真をおかみさんに見せてわけを話すと、
奥からお爺さんを呼んできてくれた。 都合がいいことに、
お爺さんは以前、田沢湖周辺の自然保護の仕事をしていたという。 
「これはここから、こう撮った写真、これはこっちからこの方向に
撮ったものだな」
一緒にお酒を飲みながら、虫メガネ片手に、写真の背景の場所を
次々に特定して、地図に印をつけてくれた。

翌日、宿を出た私は湖をめぐり、地図に印された場所に
立ってみた。 あれから三十年の月日が流れている。

帰りに乳頭温泉のほうに車を走らせると、赤い花が一面に咲いて
いるところに通りかかった。 車を降りて花を見たが、なんの花か
わからなかった。 だが葉や全体の感じが、前に書いたタデ科の
溝蕎麦(ミゾソバ)に似ていた。 (溝蕎麦よりもっと大きく茎が太い。)
 




最近、植物を調べていて、偶然にこの植物の名前を知った。 
赤蕎麦だった。 食用になり栽培している地方もあるという。 
畑というには面積が小さかったが、道沿いに点在するペンションの
人が種を播いたのかもしれない。


形之医学・しんそう療方 東京小石川
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