20代後半の2年間、仕事で山形に住んでいた。 ちょうど行ったのが暮れの
粉雪の舞う寒い時期で、休みにはいとこに誘われて、蔵王の坊平によくスキー
に行った。 日曜日に行くのだが、むこうは冬はすることがないので、休みの
前日はよく飲み会をする。 それにみんな酒がとても強い。 なので、たいてい
二日酔いの状態でスキーに行くはめになる。 チェーンを巻いた、
いとこの車の後部座席でへばって寝ていくと、チェーンの端がガンガンと
凄い音で車に当たり、それが二日酔いの頭に響いてつらい。
坊平にはいとこの友人夫婦がやっているペンションがある。 奥さんは
元スキー回転の学生チャンピョンで、初心者の私のスキー用具一式をみつく
ろってくれた人だ。 顔の広い人らしく、ペンションにはなぜか北欧の人が、
入れ替わり立ち代わり泊まりに来ていた。
向こうの人のスキーは面白い。 ノルディックというそうだが、ゲレンデで滑るより、
人の入らないような森の中を、かなり細長いスキーで歩き回る。
普通の日本のスキー靴は、板にがっちり固定されているが、歩くスキーは踵が
板から持ち上がるから、見ていると何かヘンな感じだ。
「キミたち、スキーは滑るものじゃないの~?」 と言いたくなるが、
きっと向こうの人たちは、森の中をスキーで移動する生活の延長としての、
スキーなのだろう。 スキーでいえば日本人は新参者なのだ。
朝、朝食を終えて滑りにゲレンデに行こうと外に出ると、彼らはペンションから、
ゲレンデには向かわず、すぐ近くの雪深い森の中に消えていく。
見慣れない光景で不思議な感じがした。 スキーの跡などついていないところでも、
平気で入り込んでいく。 それも滑るというより、歩く。
昼飯を食べにもどろうと歩いていると、突然、森の中から熊のような大男が
出てきて、びっくりした。
形之医学・しんそう療方 東京小石川
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