形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

茶道部のお菓子

2013-11-21 18:28:27 | Weblog

中学に入ったとき、その当時、大人気だった体操部に入った。
オリンピックで小野選手や遠藤選手が大活躍した頃で、クラスからも、
6、7人が体操部に入るほどの人気だった。 顧問の先生は大学の体操部
でならした、まだバリバリの若い先生で、その練習はとてもキツかった。

男子部員は、それぞれ自分のクラスの教室で体操着の着替えをしていた。
私の担任の、少し年配の女の先生、I先生は、国語の先生で茶道部の顧問を
していた。 なので茶道部は私のクラスの教室で週1回稽古をする。

体操部の練習が終わり、着替えに教室に行くと、女子ばかりの茶道部の
稽古が続いている。 その後ろで着替えていると、いやでも先生の前に並べ
られた、まだ配られていないお菓子が目に入る。 私たちは目の回りそうな
空腹をかかえて、それを見ながら着替えていた。

オレたちも茶道部に入ればアレを食べられる・・・・ 
協議は決まった。
そこで全員、I先生に、体操部に入ったまま、茶道部に入っちゃダメですか?
とお願いに行った。 先生はメガネ越しに、ちょっと怪訝そうに私たちを
見てたが、まぁ、いいでしょ、と許可してくれた。

それから週1回の私たちの楽しみが始まった。
体操の練習が終わると着替え、すでに始まっている茶道部の、一番後ろの席に、
全員神妙に座る。 すでに目は、お菓子に釘づけ。

始めに教えられたのは、フクサという布の作法だったが、私たちはお菓子を
にらみながらやっているから、全然おぼえられない。 というより、おぼえる
気がない。 唯一面白かったのは、茶センで抹茶を泡立てることだった。 
これは誰が泡が多いか、抹茶が飛び散るほど競争して面白かった。  
このあとの抹茶は、ウェッとなるほど苦かったが、お菓子はお腹に沁みわたる
ほどうまかった。

4、5回して、I先生に職員室に呼ばれた。
「あなたたち、ほんとうに茶道がしたいの?」
「・・・・・」 
全員クビである。    

          
からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/


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