懐かしの店というのか、小さな店がたくさん入るビルの片隅で、
昔の駄菓子屋の店をやっていることがある。 のぞいて見ると、
もうないものもある。
たとえば、今の駄菓子屋ではニッキの小枝などは見たことがない。
ニッキはマッチ棒ぐらいのものが、5、6本赤い紙で束ねてあった。
砂糖がまぶしてあったのか、それをかじると、ほんのり甘かった。
他にも、細長いガラス管に入った色つきゼリーもなかった。
このガラス管、たっぷりゼリーが入っているように見えるが、
厚いガラスの錯覚で、中が細くてゼリーは少ししか入ってない。
一瞬チュルッと吸って、あっけなくおしまいだった。
ガラス管は返していた。
お正月は大きな箱クジを店先に置いた。
大きな箱を縦横に仕切ってあり、全面に紙が張ってある。
どこに何が入ってるのか見えないようになってる。
それをお金を払って、指でズブリと破って中の景品を取り出す。
障子紙を指に唾をつけて破ると、なぜか知らないが面白い。
あとで怒られるのがわかってても、つい誘惑にかられてズブリと。
ここでは大威張りでズブリ、ズブリとやっていた。
仕切りの中にはコマやメンコ、ベーゴマなどが入っていた。
駄菓子屋は私の住んでいたあたりでは、お爺さんやお婆さんが
やっていることが多かった 。 店の名前は、モリなどの姓で
呼ばれたり、じじばばの店などと呼んでいた。
「学校が終わったら、じじばばの店に行こうぜ!」 と誘いあった。
駄菓子屋にはお菓子だけじゃなくて、いろいろなものが置いてあった。
細引きのロープがあったり、夏は虫取りに使うトリモチ、虫獲り網、
竹の釣り用一本竿、壁にぶつけるとパーンッと破裂するカンシャク玉、
ブリキのおもちゃのピストルや、それに使う巻紙状の火薬。
お正月は空に上げるタコも置いていた。 ゴチャゴチャいろんなもの
があって見ているだけで楽しかった。
からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
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