小学校の頃、遊び好きの男の子のあいだで、小さな緑色の雨ガエルや
カナヘビの子を、ポケットに入れて持ち歩くのが流行った。
朝、学校にも持って行き、休み時間にポケットから出して友だちと見せあう。
それらにはちゃんと、チビとかタロウのような名前がつけられていた。
私も4、5センチのカナヘビの子を持ち歩いていた。
カナヘビは、名前はヘビと付くが蛇ではない。 正式名は、ニホンカナヘビ
という名前の日本固有のトカゲで、どこにでもいるやつだ。 捕まえて指で
突っつくと、怒って噛みつくが、ごく小さなヤスリのような歯しかないので、
痛くもなんともない。 子どもの遊び相手に格好だった。
ある日、いつものようにポケットに入れて学校に持っていった。
暖かい日の授業。 気持ちよく居眠りしていた。
突然、真ん前でウギャー!!というかん高い悲鳴がして、
ビックリして目がさめた。
知らないうちに、胸のポケットからカナヘビが逃げだし、私の前に座って、
机に寄りかかっていた、K子ちゃんの背中を攀じ登っていったらしい。
払いのけられたカナヘビは、教室の床を逃げ回ったあげく、誰かが捕まえて
先生に渡した。 先生は指でつまんで窓から下の花壇に捨て、
私は立たされた。
「なんでこんなもの、学校に持ってくるんだー!」 バッコンッ !
黒いボール紙で挟まれた出席簿で、頭のテッペンを殴られた。
目から白い光が出た。 漫画によくある、頭をぶつけると目から
☆が出るっていうのは、ほんとうだと思った。
「他に持ってるヤツいるか?!」
ギョッとした友だち数人が手を上げて、
カエルやカナヘビを差し出し花壇に捨てさせられた。
からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
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