形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

アリ地獄

2013-06-15 13:54:01 | Weblog

小学校の頃、アリ地獄を捕まえ、空き缶に入れて飼うのが、
男の子のあいだで流行った。 近所の神社の床下にもぐりこむと、
小さいもので直径3センチから、大きなものは5センチぐらいの、
すり鉢形の穴が地面にポコポコ開いている。 

それまでは見てなんだろうと思っても、アリ地獄とは知らなかった。 
一緒に捕まえにいった友だちに、それがアリ地獄だと教えられた。
このスリ鉢の底を、深めにすくうとアリ地獄がいる。 
どこにでもいるが、見つけるコツは雨のあたらないところ。 
木の根元の小さなホコラの中などでも、簡単に見つけることができる。

子どもがまだ小さい頃、高尾山にハイキングにつれていった。
アリ地獄のことを教えると、あっちこっちの木のほこらを探しながら歩き、
オンブもせがまず4時間近くも歩き通した。 小さな子どもでも、
こうして何か探しながらだと夢中になって歩く。

 

体長1センチほどだが、見た目はグロテスクな姿をしている。
もっと大きかったら、アニメの悪役にぴったりの姿だ。
でも捕まえても噛みつくこともなく、ただ身を縮めている。



これがあの薄羽(ウスバ)カゲロウの幼虫だというのだから驚く。
成虫になったカゲロウは、見るからに儚い(はかない)感じがするが、
幼虫の姿からは想像もつかない。
* 写真は薄羽カゲロウではなく、草カゲロウ。


空き缶にいっぱい砂を入れ、アリ地獄をそこに置くと、お尻のほうから
クルクル回りながらもぐり出す。 大きな円から、だんだん小さく回り、
頭にある2本のツノで、砂をパッ パッと外に放り投げる。 
最後はきれいなスリ鉢型の穴になり、その真ん中にもぐって、
じっと獲物が来るのを待っている。

通りがかったアリがそこに落ちると、まさに地獄で、足元のサラサラと
崩れる砂の斜面を登ることがなかなかできない。 なかには懸命に登って、
穴からの脱出に成功しそうになるのもいるが、アリ地獄は下からツノで
砂をはね上げてアリにかけ、落としてしまう。

自然の創りだす、こうした生態の巧妙さは驚嘆するしかない。
蜘蛛が体から出す糸で、巧みに網を張っていく様子を見ていることがある。 
その仕組みを、親から受け継いだというのはわかるが、その親も親から・・・・
と考えていくとわからなくなる。 一口に進化とか遺伝子というが、
それを獲得するまでの膨大な時間の流れの中で、どのようにして
獲得していったのだろうか。 
                   

形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/



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