Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

∫28「賀茂御祖神社(下鴨神社)」 京都, ---?.

2014-05-31 | Architecture
 神武東征の折、ヤマト・イワレヒコを先導したとされる三つの足をもつ八咫烏(ヤタガラス)黒い烏は太陽の黒点を暗示し、三は陰陽において奇数は陽を意味することから太陽を司るとの言い伝えですが、実は下鴨神社に祀られている賀茂氏の始祖である賀茂建角身命(カモタケツノミノミコト)の化身なのかもしれません。

 紀元前8世紀以降、中国南部からの弥生人の流入によって農耕がもたらされ、日本各地に多くの「国」が形成される過程で、ヤマトを盟主とした統一王権が編纂したのが日本書紀や古事記だそうです。

 時の権力者が自らの正統性を誇示するために神話として、自らを神や太陽になぞらえて描いた物語なのかもしれません。

 下鴨神社の境内には、糺(ただす)の森と呼ばれる原生林が拡がり、流れる御手洗川のほとりには弥生時代の祭祀跡などがたたずんでいます。

初稿 2014/05/31
校正 2021/01/25
写真 糺の森
撮影 2014/01/26(京都・下鴨神社)
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∫27「宮崎神宮」 宮崎, ---?.

2014-05-31 | Architecture
 神話に登場するイザナギが黄泉の国からの帰途、穢れを禊いだ折に生まれた神が太陽の化身・アマテラスの孫。ニニギノミコトが日向の地に降臨してから数えて三代。遥か大和の地への神武東征を行ったヤマト・イワレヒコ、またの名は神武天皇を奉る社。

 一方で、あまり知られていない大和の地に降臨したとされる神・ニギハヤヒノミコト。両者が同じ起源を持つ神といいながらも、それぞれがそれぞれにその正統性を主張し、それぞれが認め合わないことから起こる戰。

 とはいえ、最後は神武東征も出雲の国譲りと同じように力を力で屈服させることを潔しとしないなにかしら潜在的な心理が働いているような気がします。

初稿 2014/05/31
校正 2021/01/27
写真 宮崎神宮
撮影 2014/03/02(宮崎)
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∫26「出雲大社」 島根, ---?.

2014-05-31 | Architecture
 神話に登場するイザナギが黄泉の国からの帰途、穢れを禊いだ折に生まれた神のひとり。海の化身・スサノオの孫が大国主神(オオクニヌシ)。その含意は大国を治める王を示唆するそうです。

 同じくしてイザナギが黄泉の国からの帰途、穢れを禊いだ折に生まれたもうひとりの神、太陽の化身がアマテラスの孫・ニニギノミコト。

 オオクニヌシが治めた大国「出雲」は太陽の光を遮る雲の暗喩。アマテラスと対峙し平定されたいにしえの戰、それが国譲りとして伝承されているのかもしれません。

 神話の是非を論じるつもりはないのですが、視点を変えてみれば歴史の一部が垣間見れるような気がして興味深いものです。

初稿 2014/05/31
校正 2021/01/27
写真 出雲大社
撮影 2007/04/30(島根・出雲)
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∫25「宗像大社」 福岡, ---?.

2014-05-31 | Architecture
 朝鮮半島南部と九州北部を繋ぐ直線上に鎮座する沖津宮(沖ノ島)、中津宮(筑前大島)、辺津宮(田島)を総称した宗像大社。アマテラスがスサノオの剣より産み出したといわれる宗像三女神を奉っています。

 剣は力そのものと材料としての鉄の暗喩。古代から鉄の原産地は朝鮮半島南部と考えられ、群雄割拠する倭国において力の均衡を保つにしても、力の均衡を破るにしても、朝鮮半島と九州を結ぶ鉄の供給ルートを拓き航海術に長けた海人(あまぞく)が重用されたのかもしれません。

また、宗像三女神が八幡神として祀られているのは、シーレーンを制したがゆえのような気がします。

初稿 2014/05/31
校正 2021/01/28
撮影 2008/07/26
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∫24「岩清水八幡宮」京都, 860.

2014-05-29 | Architecture
 古くから天変地異の折、朝廷の命により祈祷を捧げる二十二社(上七社)のひとつであり、そのなかでも伊勢神宮、賀茂神社とともに日本三社のひとつとかぞえられるそうです。

 源氏をはじめ数多の武家の崇敬を集める八幡神は神功皇后、応神天皇、宗像三女神が習合したとされ、航海術に長けた海人族(あまぞく)を率いた新たな勢力が旧勢力を打倒した武運長久にあやかったのかも知れません。

 また、京からみた鬼門に鎮座する延暦寺と相対して、裏鬼門に鎮座するのは必ずしも風水的な観点だけでなく、木津川、宇治川、桂川の交わる水運の要衝にて男体山と天王山との隘路を睨む戦略的な観点があるからこそ鎮守神として位置付けられているような気がします。

初稿 2014/05/29
校正 2021/01/29
写真 石清水八幡宮
撮影 2014/05/06(京都)
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