Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

♪28「Season's Greeting 〜2017夏」

2017-07-29 | Season's Greeting
 透き通る静寂に映える緑が雷の如く。

 雷は"いかづち"とも称し、自らに降りかかる抗えない厄の喩え。

 ひょっとしたら、厄とは自らが持つ先入観や劣等感、恐怖感に起因するのかもしれません。

 雷除けで名高い岩間寺の縁起に拠れば、雷の思いを聴き容れることこそが、雷を鎮めることに他ならず、祈りは自らの願いを叶える為のものではなく、祈りを捧げる自らに向き合うことのような気がします。

初稿 2017/07/29
校正 2020/11/11
写真 岩間山 正法寺(真言宗 醍醐派)
撮影 2017/07/26(滋賀・大津)
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§73「羊をめぐる冒険」 村上春樹, 1982.

2017-07-02 | Book Reviews
 思いもよらず思わぬ経験をするとき、実は認知を越えた出来事や存在を認識できていないだけかもしれません。また、何の因果も無く、ただの偶然に過ぎず不思議だなぁと認識しているに過ぎないだけかもしれません。

 認知を越えた出来事や存在を「羊」として認識した冒険が扱うテーマは、欲望、支配、服従、生死のような気がします。

 ひょっとしたら、「羊」とは自らの深い無意識に潜む言葉に出来ないコンプレックス、自らが絶対に認めてはならないと意識されるイメージかもしれません。

 村上春樹と河合隼雄の対談集を読んでから、村上春樹が描く「羊」のイメージと河合隼雄が説く「影」のイメージが重なるような気がします。これもシンクロニシティなのかもしれません。

初稿 2017/07/01
校正 2020/11/11
写真 東華菜館, V.M.ヴォーリズ, 1926.
撮影 2016/04/03(京都・四条大橋西詰)
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