Liner Notes

素人感覚で自由にあれこれ思うことを綴ってみました!

#15「白亜に緑青を纏う空の十字架」神田駿河台・ニコライ堂【1891】~2012/02/02

2012-11-29 | Liner Notes


東京復活大聖堂

日本正教会の大聖堂

 願いと祈りと執り成しと感謝を
  すべての人々のためにささげなさい。
   王たちやすべての高官のためにもささげなさい

そこでは、
ロシアのための祈りのみならず、
日本のための祈りも唱えられていると聞きます。

その祈りは、
決して布教の為の迎合ではなく、
時の権力者が暴走をすることなく、
人々の平和と安寧が込められているそうです。

その教えは、
宗教の違いによって
相手が私と同質か?異質か?
という選択を求めているのではなく、

ひとりひとりが生きていくうえで

あるべき姿は何で、そのために何を祈り、何を実践するのか?

という目的を問うているような気がします。





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#14「凜とした緑 重なる雲と影」東京・湯島聖堂【1690】~2012/02/02

2012-11-27 | Liner Notes


神田駿河台 湯島聖堂

徳川綱吉の治世に建てられた
儒学の祖 孔子を祀る堂

飛鳥期の仏法伝来による蘇我氏と物部氏の対立
平安期以降の朝廷と武家との均衡

宗教が
排斥された人々の祟りを鎮め、
絶対的な存在による救済や加護を説くことで、
隔たりのあるものどうしが、
隔たりを平らかにしようとした歴史。

宗教による治世の限界と
安定した世の中を末永く維持するために、
人心を収束させるための方法論としての儒教。

仁 ・・・人を思いやること。
義・・・ 利欲に囚われず、すべきことをすること。
礼・・・ 人の上下関係で守るべきこと。
智・・・ 学問に励む
信・・・ 約束を守ること、誠実であること。

人としての徳を定義し、努めることで
すべての人間関係を維持するための思想

必ずしも芸術的価値が卓越した
建築物ではないかも知れませんが、
260年にも及ぶ安定した治世を支えた
凜とした多くの人々を排出した修身の場として
捉えてみると、何かしら感慨深いものがあります。
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#13「海辺に映す朱の回廊」広島・厳島神社【1243】~2008/07/21

2012-11-26 | Liner Notes


宮島 厳島神社

平清盛が創建した社

祭られるのは市寸島比売命(イチキシマヒメ)
厳島の語源という説もある宗像三女神の一柱。
元来、朝鮮半島への海上交通を守護する玄界灘の神として、
古くから崇拝された神であり、
またの名を、七福神の弁財天とも言うそうです。

飛鳥期に、
仏法を擁した蘇我氏が物部氏を排斥し、
中央集権国家の原初的な姿を形づくり、

天武帝の世に、
天照大神を頂点とする律令制度が
確立されていくにしたがって、
仏も神も同一視されるに至ると聞きます。

旧勢力との対立から均衡へ。。。

平清盛は、
強靭な武力によって、宋へのシーレーンを確保するだけでなく、
宋船による厳島参詣は宋銭を夥しく溢れさせ、その財力と
市寸島比売命と弁財天の加護により朝廷と寺社勢力を圧倒し、

平家にあらずんば、ひとにあらず

と言わしめた。

仏と神だけにあらず、
平家一門をも同一視し、
その均衡が崩れた時

檀浦に連なる海に臨む、その朱色の回廊の先には、
どのような武士の世を描いていたのでしょうか。

※) #11~#20は建築物の連作で、#11~#13は回廊にまつわる章です。
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#12「水面に映る緑の回廊」京都・平等院【1052】~2007/10/08

2012-11-21 | Liner Notes


平等院 鳳凰堂

時は平安末期。

釈迦入滅より二千年を経て
仏法が廃れると信じられた末法の世の元年に
極楽浄土を再現したかの如き阿弥陀堂。

本尊の阿弥陀如来は
現世をあまねく照らす光の仏にして、
空間と時間の制約を受けない仏。

五十年の長きにわたり
関白として権勢を奮った
藤原頼道が建立した阿弥陀堂に繋がる
鳳凰の両翼の如きその回廊は、

法隆寺の、
屹立した柱が支える回廊とは異なり
歩く人の重みさえ支えることが出来ない構造。

芸術的価値は疑う余地はないものの、
現世での救済ではなく、
来世での救済を頑なに祈った
藤原氏の凋落を暗示させるような気もします。。。

※) #11~#20は建築物の連作で、#11~#13は回廊にまつわる章です。
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#11「とこしえに続く回廊 」奈良・法隆寺【607】~2008/05/31

2012-11-20 | Liner Notes


法隆寺 聖徳宗の総本山。

父 用命帝の冥福と仏法による安寧な世を祈願し、 聖徳太子が建立した寺院。

倭の国から日出る国、日本へと歩み始めた時代の幕開け。

仏教伝来、遣隋使派遣、十七条憲法、冠位十二階等による 律令制度の確立。

中央政権を欲しいままにする蘇我氏の台頭と上宮王家の排斥。

法隆寺の回廊を支える柱は、エンタシスと呼ばれ、 円柱の中部から上部にかけて細くすることで、 屹立とした安定感を与えてくれます。

その安定感は 仏法による安寧への揺るぎなき祈りと捉えるか 聖徳太子一族への鎮魂として捉えるか 様々な解釈があるかもしれませんが、

いずれにしても、 とこしえに続く歴史の回廊の入口かも知れません。

※) #11~#20は建築物の連作です。
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