Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

∫10「日本銀行大阪支店旧館」 大阪・中之島, 1903.

2013-08-29 | Architecture
 水の都・大阪を流れる土佐堀川と堂島川の岸辺に建つ日本銀行大阪支店旧館は、緑青のドームを纏う代表的な銀行建築のひとつです。
 
 その役割は、主な金融機関同士の取引の決済を扱う銀行の銀行でした。

 土佐堀川を隔てて旧住友銀行本店と旧三井銀行大阪支店が構え、大正後期から昭和初期にかけては大阪が日本一、世界で六番目の大都市に成長させ、大大阪と呼ばれていた時代を牽引した機能だと思います。

 建築美として捉えることはとても興味を引きますが、その建築群が果たした歴史的意義を改めて捉えなおしてみると、また違う興味や関心が湧いてきます。

初稿 2013/08/29
校正 2021/02/22
写真「日本銀行大阪支店旧館」 辰野金吾, 1903.
撮影 2013/08/24(大阪・中之島)
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∫9「中之島図書館」 大阪・中之島, 1904.

2013-08-28 | Architecture
 広げた書物に眼を向けた人間の知性を表現する文神像、両手を腰にあて前を凝視した人間の野性を表現する野神像。

 その像が壁に屹立する中央ホールのギャラリーには八哲と称した、菅原道真、孔子、ソクラテス、アリストテレス、シェイクスピア、カント、ゲーテ、ダーウィンの名が刻まれています。

 旧住友財閥が寄贈した中之島図書館は蔵書数約五十万冊を収め、知識を集める場としてだけでなく、その知識を知恵に変え、自らが利するとともに社会に利することでなければならぬ「自利利他、公私一如」という願いと祈りを強く感じます。

初稿 2013/08/28
校正 2021/02/23
写真「大阪府立 中之島図書館」 野口孫一, 1904.
撮影 2013/08/24(大阪・中之島)
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∫8「住友ビルディング」 大阪・北浜, 1926.

2013-08-25 | Architecture
 三井住友銀行大阪本店は、大阪・北浜の土佐堀川に佇む旧住友財閥の総本店であり、約四〇〇年の歴史を有する世界最古の財閥のひとつです。

 とかく、「結束の住友」と言われるその所以は、時代の大きな転換期にあっても信用を重んじ、確実を旨とし、いやしくも浮利にはしることなかれと綴った住友家法の条文がいまもなお、グループ各社の企業理念に脈々と受け継がれているそうです。

 黄土色の石材で築いたその意匠は他に類を見ないほどの異彩を放ち、時代が如何に変わろうとも、変わることのない重厚感と存在感を醸し出しています。 

初稿 2013/08/25
校正 2021/02/24
写真「住友ビルディング」 野口孫一 他, 1926.
撮影 2013/08/24(大阪・北浜)
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∫7「旧三井銀行大阪支店」 大阪・高麗橋, 1936.

2013-08-23 | Architecture
 大阪・堺筋の北浜辺り、職場近くの喫茶店にて窓越しの露を透して写した、三井住友銀行 大阪中央支店。

 丸の内・三菱村、日本橋・三井村に並ぶ近代建築群を擁する北浜は旧住友財閥の総本山であり、北浜・住友村とも呼ばれるそうです。

 とはいえ、この建築は住友系ではないものも、近代銀行建築のなかでも重厚感より端正な美しさを覚えます。その美しさを彩るのは正面上部を飾るレリーフであり、ローマ神話に登場する商業を司る神の持つ杖が突く先には豊かな穀物の芽生えを示唆しています。

 日本橋・三井村の流れを汲む大阪の旧拠点は、北浜・住友村の重厚感とは一味違う存在感があるような気がします。

初稿 2013/08/23
校正 2021/02/25
写真「旧三井銀行大阪支店,」曽禰達蔵, 1936.
撮影 2013/07/28(大阪・高麗橋)
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∫6「旧川崎貯蓄銀行」 大阪・南船場, 1931.

2013-08-12 | Architecture
 南船場の堺筋沿いのひときわ重厚感のある建物、かつての銀行もいまやレストランに様変わり。

 大阪で働いてみて感じるのは、歴史的建築が多く、なにげなく、そしてさりげなく日常に溶け込んで、使われ続けているところがいいところです。

初稿 2013/08/12
校正 2021/02/26
写真「旧川崎貯蓄銀行」矢部又吉, 1931.※
  ※現在は堺筋倶楽部(イタリアンレストラン)
撮影 2013/07/24(大阪・南船場)
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