Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

#13「水面に映る緑の回廊」

2012-11-21 | Liner Notes
 時は平安末期、釈迦入滅より二千年を経て仏法が廃れると信じられた末法の世の元年に、極楽浄土を再現したかの如き阿弥陀堂。

 本尊の阿弥陀如来は現世をあまねく照らす光の仏にして、空間と時間の制約を受けない仏だそうです。

 五十年の長きにわたり関白として権勢を奮った藤原頼道が建立した阿弥陀堂に繋がる鳳凰の両翼の如きその回廊は、法隆寺の屹立した柱が支える回廊とは異なり、歩く人の重みさえ支えることが出来ない構造。

 芸術的価値は疑う余地はないものの、現世での救済ではなく、来世での救済を頑なに祈った藤原氏の凋落を暗示させるような気もします。

初稿 2012/11/21
校正 2021/04/16
写真 平等院鳳凰堂, 1052.
撮影 2007/10/08(京都・宇治)
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