Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

#14「海辺に映す朱の回廊」

2012-11-26 | Liner Notes
 平清盛が創建した社、安芸の宮島・厳島神社。厳島の語源という説もある宗像三女神の一柱、市寸島比売命(イチキシマヒメ)を祀っており、朝鮮半島への海上交通を守護する玄界灘の神として古くから崇拝された神であり、またの名を七福神の弁財天とも言うそうです。

 飛鳥期に仏法を擁した蘇我氏が物部氏を排斥し、中央集権国家の原初的な姿を形づくり、天武帝の世に、天照大神を頂点とする律令制度が確立されていくにしたがって、仏も神も同一視されるに至ると聞きます。

 そして時は移り旧勢力との対立から均衡へ。平清盛は強靭な武力によって、宋へのシーレーンを確保するだけでなく、宋船による厳島参詣は宋銭を夥しく溢れさせ、その財力と市寸島比売命や弁財天の加護により朝廷と寺社勢力を圧倒し、「平家にあらずんばひとにあらず」と言わしめたそうです。

 仏と神だけにあらず、平家一門をも同一視しその均衡が崩れた時、壇ノ浦に連なる海に臨むその朱色の回廊の先には、どのような武士の世を描いていたのでしょうか。

初稿 2012/11/26
校正 2021/04/15
写真 厳島神社, 1243.
撮影 2008/07/21(広島・宮島)

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