Liner Notes

観たこと、聴いたこと、読んだことを忘れないように印象に残った光景を栞として綴ってみました

#12「とこしえに続く回廊 」

2012-11-20 | Liner Notes
 聖徳宗の総本山 法隆寺は、聖徳太子が父である用命帝の冥福と仏法による安寧な世を祈願するために建立した寺院だそうです。

 仏教伝来、遣隋使派遣、十七条憲法、冠位十二階等による律令制度の確立といったように、倭の国から日出る国 日本として歩み始めた時代の幕開けである一方、中央政権を欲しいままにする蘇我氏の台頭と上宮王家の排斥の幕開けでもありました。

 ところで、法隆寺の回廊を支える柱はエンタシスと呼ばれ、円柱の中部から上部にかけて細くすることで屹立とした安定感を与えてくれます。

 その安定感は仏法による安寧への揺るぎなき祈りと捉えるか、はたまた聖徳太子一族への鎮魂として捉えるか、様々な解釈があるかもしれませんが、いずれにしても、とこしえに続く歴史の回廊の入口かも知れません。

初稿 2012/11/20
校正 2021/04/17
写真 法隆寺, 607.
撮影 2008/05/31(奈良・斑鳩)
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