晴れ、ときどき映画三昧

『夕陽の挽歌』 75点





夕陽の挽歌


1971年/アメリカ






男の夢と友情を描いた抒情詩





プロフィール画像

shinakamさん


男性






総合★★★★☆
75



ストーリー

★★★★☆
75点




キャスト

★★★★☆
75点




演出

★★★★☆
75点




ビジュアル

★★★★☆
85点




音楽

★★★★☆
80点





「ティファニーで朝食を」のブレイク・エドワーズによる製作・監督・脚本の西部劇。
牧場で働く初老のカウボーイ、ボーディン(ウィリアム・ホールデン)と親子ほど年の離れた若者、ポスト(ライアン・オニール)は暴れ馬で死んだ仲間の埋葬へ出かける。2人はこれからの人生につて語り合うがメキシコで老後をゆっくり過ごしたいボーディンと漠然と豊かな生活に憧れるポストにはカウボーイ暮らしで夢の実現は不可能なのは一目瞭然である。
50年代の大スターW・ホールデンと「ある愛の詩」で若手スターの仲間入りをしたR・オニールのコンビによる男の友情物語で展開する。ポールがボーディンに「結婚をしたことがあるのか?」と聞くと「あるさ。でも考えるのとするのは違う」と答える。このとき30年近く連れ添った妻ブレンダ・マーシャルと離婚したばかりのW・ホールデンには意味深な台詞だったろう。
お決まりの銀行強盗で大金を手に入れるが、銀行に押し入るのではなく、女と赤ん坊のいる留守家族を人質にとる手法は男の美学?か。W・ホールデンはこの頃から<渋味を増した哀愁漂う俳優>として復活しようとしていた時期だった。大金を得た2人の遣い方も好対照で、フロにゆっくり浸かり女とベッドで過ごすボーディンと、それだけでは物足りずポーカーで大金を賭けて刺激を味わうポスト。
2人の逃避行と牧場主バックマン(カール・マルデン)が指し出した長男ポール(ジョードン・ベイカー)と次男ジョン(トム・スクリット)の追跡シーンがクライマックス。ジェリー・ゴールドスミスの音楽とともに雄大な荒野や美しい雪原を背景に続いて行く映像が美しく、最大の見せ場だ。
牧場主と羊飼いの争いや保安官のだらしなさなどが描かれ冗長さは否めないが、イタリア製西部劇の奇想天外な大活劇に対抗し、本家ハリウッドが意地を見せリアルさを強調した作風はとても理解できる。残念ながら時代は一部のファン以外は西部劇に興味を持たなくなってしまったので<夕陽>と<挽歌>を題名につけながらも記憶に残る作品にはならなかった。




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