序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

その時・・・

2011-10-13 13:17:18 | 日記・エッセイ・コラム

昨日の稽古終わり。

「今日はここまで」と区切りを付け、気になった役者を呼んでダメ出しをしていた所、突然稽古場の明かりが消え、真っ暗闇に。

そして突然のハッピーバースディの歌。

そう、昨日は私のウン十回目の誕生日だったのです。

いつの間に用意したのか、蝋燭に火の点いたケーキが目の間に。

劇団員の「消して消して」の声に促されて、その気になり思い切って息を吸い込んだ途端、私の目の前に劇団員のカメラならぬ携帯がずらっと並んでシャッターチャンスを狙っています。

その要望に応えるべく蝋燭の火を一吹き。

湧きあがる拍手の中で、私は何となく面はゆい気持ちと、申し訳ない気持ちがない交ぜになった妙な心境で祝ってくれる劇団員の顔を見ていました。

劇団芝居屋を立ち上げて今年で十年目になります。

以来、私の誕生日のそのほとんどが公演稽古と被っており、とても誕生日を意識できる余裕もなく、いつも失念していました。

その為劇団員が祝ってくれるその度ごとに感動していたのですが・・・

ええ、今年も確かに忘れていたのです、あのメールが来るまでは。

そのメールは、一時期私と芝居をしていた教え子からのものでした。

内容はこれといった特別な事ではなく、うれしい祝いの言葉でした。

それを読んで初めて自分の誕生日だった事を思い出したのです。

でも、それもすぐに忘却の彼方。

何故か。稽古に入ったからですよ。そうなったらそんな事思い出しもしません。

でもね・・・稽古が終わり、稽古場が真っ暗になった瞬間思い出しちゃったんですよ。

ああ、誕生日だとね。

「何だ、何なんだ」といった混乱がなかったんですよ。

あの混乱が、大きな感動への道しるべだったのに、すんなり思い出しちゃったんです。

「ごめん、うまく驚いてあげられない」

多分私は何とも中途半端な顔をしていたに違いありません。

ええ、これが芝居だったら当然上手くやりますがね。

瞬間に人は多くの事を考えます。

当然登場人物もでしょうね。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿