弔い上げと墓仕舞いの件が穏便な内に話が住み、お互いの心の距離も縮まっていい時間を過ごした角田家一同の前に、文子が現れ法要の始まりを告げる。
文子 「皆様、法要の準備が出来ましたので、本堂の方へご案内いたします。尚,法要が終わりましたらそのままタクシーで御斎の会場へご案内致しますのでお荷物はお持ちください」
聖司 「あのう、文さん。荷物を持って本堂に行くんですか」
文子 「ああ、そうだよ」
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さて話を続けましょう。
三十三回忌で父親の回忌法要を辞め、父親がこの家のご先祖様として崇める事にした正一は、皆の前で初めて息子としての想いを吐露します。
正一 「もともと横浜の出身だったオヤジがこの街にたどり着いたのは軍隊の赴任地だったからだそうだ。戦後復員したオヤジを待っていたのは焼け野原の横浜だった、家も家族も空襲で無くして天涯孤独となったオヤジは新天地を求めてここに来たんだ。そうして孤軍 . . . 本文を読む
主催の正一が文子の案内で現れます。
今は角田家の当主である正一は東京に居を構えており、今出席している聖司、妙子、奈美恵も同様でありました。
本家がこの街から出た角田家の親戚はすでにちりぢりとなっており、出席の有無の連絡もなかったのです。
結局33回忌の出席者はこの五人のみという事になりました。
この五人が顔を合わせるのも6年前の27回忌以来です。
その6年の間それぞれの生活の変化なぞ . . . 本文を読む
ホッとした妙子がトイレに行くのと入れ替わりに聖司が帰ってきます。
聖司 「なあ、奈美恵。伯父さんから何か聞いてる?」
奈美恵 「何を?」
聖司 「回忌法要の事さ」
奈美恵 「別に何も聞いてないけど」
聖司 「調べたら回忌法要の終了って大体三十三回忌が区切りで弔い上げらしいんな」
奈美恵 「ああ、そうなの。だったら・・」
聖司 「御祖父さんも先にご先祖様になった御祖母さんの仲間に入るん . . . 本文を読む