9 八月・移転期限日一週間前・訣別・三十五度
8月21日となりいよいよ紫苑の立ち退き期限日です。
若手の応援を受け店内の片付けがはじまっています。
「天国と地獄」の曲が薄く流れえている。
調理場から段ボール箱を持ってきて積み上げる作業姿の登和。
タオルにTシャツ姿の淳と総司が入って来る。
登和 「それ、運んで」
総司 「了解しました」
総司 . . . 本文を読む
8 七月・移転一ヶ月前・昼・三十四度
早いもので七月の声を聴きました。
炎天下の最中今日は万年青の解体の日。
女将の典子が半狂乱の体で良子と登和に止められながら来ます。
登和 「女将さん・・・」
典子 「なんであたしが万年青のあんな姿を見なけりゃならないのよ・・」
登和 「そうですよね。分かります,分かりますよ、女将さん」
良子 「女将さん。しっかり、しっかりしてね」
典子 「良 . . . 本文を読む
7 六月・移転二ヶ月前・移動
三月の移転意思の表明から三ヶ月。
清彦と早紀の補償交渉や移転場所もそれぞれ決まり移転が始まりました。
それと同時に横丁の取り壊しも進み七曲りもなばかりとなって来ました。
良子 「今日は朝からどっちの引っ越し」
淳 「鳥功す、明日が海路すね」
良子 「あら、二日続けてお引越しだ。北口の店見に行った?」
淳 「ええ、改装工事が終わったんで大将と一緒にね。今の店よ . . . 本文を読む
6 一週間後・昼・代理・二十六度
金蔵の尾てい骨骨折から一週間後、典子は紫苑である女性と待ち合わせします。
予定の時刻を過ぎて慌てた面持ちで現れた女性は・・・。
早紀 「遅くなってすいません。道に迷っちゃったもんですから・・」
友永早紀という名前でした。
典子 「・・・早紀ちゃんなの?」
早紀 「ハイ、友永早紀です」
典子 「あらあ、立派になっちゃって・・あたしの事分かる?」
早紀 「・・ . . . 本文を読む
5 同日・夜・二十度
七曲りの皆が応援した淳の試合は見事淳が勝利をおさめました。
万年青での一次会も終わり、紫苑の二次会の為先遣隊として良子と若手が席作りに来ました。
良子 「ソーレソレソレ、お祭りだ」
燥ぎまくった若手がきます。
総司 「勝者矢崎淳!!」
まだ万年青に残ってる老体組と若手合わせて十人分の席をつくります。
良子 「ご苦労さん。来るの何人だっけ」
総司 「僕らを含めて十 . . . 本文を読む