序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

「通る夜・1965」舞台写真9

2012-07-16 18:01:28 | 演劇

2月。

みんなで作り上げた舞台も無事に終わり、高校生活も残すところ一か月を切ったある日。

キートンは長い間胸に秘めていた思いを打ち明けようと、チーコを学校の裏山に呼び出した。

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遠くから「仰げば尊し」のピアノ演奏が聞こえてくる。

キートンは思い切ってチーコに告白する。

 

         キートン 「チーコ・・」チーコ 「なあに」<o:p></o:p>

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キートン 「オレ・・・僕の事どう思う」
チーコ 「・・・どうって?」
キートン 「・・・だから、その・・・嫌い?」
チーコ 「・・ううん」
キートン 「ジャ、じゃ・・好き?」
チーコ 「・・・うん」
キートン 「本当!?」<o:p></o:p>

 

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チーコ 「うん」
<o:p></o:p>

 キートン 「本当に本当?」<o:p></o:p>

 チーコ 「だって友達だから」<o:p></o:p>

 キートン 「エッ!・・・・」<o:p></o:p>

 チーコ 「友達だよね」<o:p></o:p>

 

キートン 「・・・ああ、そうだよね。・・・そうだ、友達だもんな」

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  チーコから離れるキートン。<o:p></o:p>

 チーコ 「ゴメンネ」
キートン 「何が・・・何謝ってるんだよ。悪い事何にもやってないべや、チーコ」
チーコ 「知ってたの、キートンの気持ち」
キートン 「何言ってんだ、俺はなにも・・・」
チーコ 「タケコから聞いていたの」
キートン 「エッ!・・・あいつ余計な事を・・・」
チーコ 「キートンの事は好きよ。でも付き合っている人が居るの」<o:p></o:p>

   呆然とするキートン。<o:p></o:p>

 キートン 「(我に返り)ああ、そう・・・そうなの・・・そうなんだ」

その相手はあろうことか、親友と信頼しチーコの事を相談していたマサルであった。

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<o:p>

 

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ショックを受けるキートンの前に準備会のメンバーが現れる。
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彼らはキートンのチーコ対する気持ちも、チーコとマサルの関係も知っていた。

そしてそれをキートンに話せずにいた。

どう言っていいのかわからなかったからである。

全ては善意から発していた。

しかし、キートンにとっては悪意であり、裏切りであった。

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 キートン 「友達だとおもっていたのに・・・」<o:p></o:p>

 シュンジ 「俺たちは友達だよ」<o:p></o:p>

 ノッチン 「そうだよ、友達だよ」<o:p></o:p>

 ケイコ 「そうだよ」<o:p></o:p>

 キートン 「笑っていたんだな、みんなして」<o:p></o:p>

 

タケコ 「キートン」<o:p></o:p>

 キートン 「さぞ面白かったべな。お笑い草だよ、まるでピエロだ。みんなして陰で笑っていたんだべ。親友だと思って、信用して何から何までみんなしゃべっちまったんだからな」

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202キートンはやり場のない怒りにマサルに殴り掛かる。

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止めようとする仲間。

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キートンはその怒りにまかせ、生涯の永い時間自分を自縛する言葉を発してしまう。

「お前なんか、お前たちなんか絶交だ!」

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夢の終わりである。

続く。


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