天に 跼 り 地に 蹐 す
【意味】ひどく恐れるようす。高い天でも背をかがめ、厚い大地の上でも抜き足さし足で歩くこと。
キョク
かがむ、せぐくま(る)
跼
【解字】形声。貝+局。音符の局は、背を曲げるの意味。足や背をまげる、かがむの意味を表す。
- かがむ。せぐくまる。からだを曲げて背をまるくちぢめる。
- 片足を挙げる。
シャク、セキ
ぬきあし、さしあし
蹐
【解字】形声。足+脊。音符の脊は、椎骨が積み重なっている背ぼねの意味。椎骨のように足を一つ一つ積み重ねるの意味から、ぬきあしの意味を表す。
- ぬきあし。さしあし。
- 音を立てないように歩く歩き方⇒「跼蹐」キョクセキ
てんにせぐくまり、ちにぬきあしす
跼の解字がなぜ、貝+局なのか不思議です。
また、
蹐の訓読みが「ぬきあし」「さしあし」というのもどこかで聞いたことありますね。笑
出典は四字熟語にもある
『跼天蹐地』キョクテンセキチ
[詩経、小雅、正月]
また、こんな諺もありますね。
『騏驥の跼躅は駑馬の安歩に如かず』(ききのきょくちょくはどばのあんぽにしかず)
【意味】すぐれた人も怠けていれば、平凡な人が努力するのに及ばないというたとえ。
※跼躅:行き悩む様子。
もともとは例外なく漢文(漢詩)からきている言葉。
跼だって、蹐だって 音読するのはさほど難しいものではない。
旁の音符の局と脊(←来年度から常用漢字です)を読めばいいのだから。
でも、跼を「せぐくまり」、蹐を「ぬきあし」と訓読させた倭人を尊敬してしまいます。
「ぬきあし」は普段からよく耳にする言葉ですね。
でも、「せぐくまる」なんて聞いたことがありません。
おそらく、
背を丸くする + かがまる(屈まる) = 背かがまる ⇒ せぐくまる
の合成語の転訛だと思います。
ググってみたら、
『せぐくまる 蒲団の中や 夜もすがら』
by夏目漱石
と遣っている方がいらっしゃたんですね。
さすがです。笑