ガーベラ・ダイアリー

日々の発見&読書記録を気ままにつづっていきます!
本の内容は基本的にネタバレです。気をつけてお読みください。

さくま ゆみこ著 「子どもを本好きにする50の方法」 柏書房

2007-03-06 | こんな本読みました

個人的には、あまりタイトルがすきではないのだが。。。
内容はわかりやすく平易なことばで、本とどうつきあっていくとよいかという指南が書かれている。それが50ほどある。

サブタイトルにもあるのだが<+おすすめ本 300冊>が本書の最後にリストアップされている。それは、テーマ別(動物、乗り物、食べ物など)と50音順との二つの方法でなされており、本を選定するときに非常に役立つと思う。

また、<コンピューターもうまく利用しよう>の章では、「本に関するおもしろいサイト」や「作家や画家や翻訳家のサイト」が紹介されている。

<文字が読めるというのと物語を味わうというのは違います。私はこの年になっても、絵本や童話をだれかが読んでくれるのを聞くのが好きです。読み聞かせのベテランの人が読んでくれると、自分ひとりで黙読していたときとはまた違った世界が見えてきたりするからです。>

わたしもかつて児童文学関連の講座に出席した折に、講師の先生によるよみきかせを享受したのだが、「絵」と「音声」を手がかりに想像の世界に入ることができとても楽しかった。なので、子どもが大きくなってもよみきかせは続けていきたいと思った。

<ドイツの作家ケストナーは、「人間の世界の軸を正しくするためには」4つのことをしなければならないと語っています。1つは良心の声を聞くこと。2つ目はお手本をさがすこと、3つ目は子どものころを思い出すこと、そして4つ目がユーモアを身につけることなのです。「ユーモアは地球を小さい星にし、世界を一呼吸にし、わたしたち自身を謙虚にします」とも述べています。>

自分の軸がぶれてきたなと感じたら、ここに戻ってふりかえってみたいと思った。

子どもが何の役にも立ちそうにないばかばかしい本やくだらない本を読んでいたらあなたならどうしますか?それについて著者はこんなふうに語っている。

<人と人とのつきあいの場合と同じで、子どもと本の場合も、相性とか出会いがあるのだと思います。だから、親がどんなにいい本だと思って、やっきになって読ませようとしても、子どもはあまり気に入らなかったり、親が好ましくないと思っている本を子どもが熱心に読んだりすることもあるのです。そうした゛出会い゛は、言葉では説明できないものなのです。>

子どもが選ぶ本、そして親が読んでほしいと思う本が微妙にずれるとき、どんなふうに子どもにアプローチしていくか。子どもの目にふれるところに何気なく良書を置いておくというのも一手かもしれないと思った。

翻訳者である著者は、翻訳する価値のある作品をさがす仕事をされているとのこと。その際、<日本で出版する価値があるかどうかの判断をするときには、いつも私は自分の世界観が問われているのだな、という気がします。大げさに言えば、どんな社会を子どもに手渡したいのかということを考えながら、本選びをしているということになるでしょうか。>

巷にあふれている本。それらを実際に子どもの手に手渡す役割を担っている自分は、はたしてそこまで本の内容について吟味していただろうか?と冷や汗が出た。

また、子どもの生活を忙しくしすぎないようにと提言されている。

<エリーズ・ホールディングという社会学者は『子どもが孤独(ひとり)でいる時間(とき)』という本の中で、子どもも生活のどこかで「孤独でいる時間」が必要だと述べています。孤独の中に身をおくときに子どもの内側に何かが起こり、想像力や創造性がはぐくまれるのだというのです。「内なる心が熟す黄金の時」という言葉を著者は使っています。読書も、同じような実りをもたらす体験だと思います。>

ただし、子どもが仲間はずれにされたり、見捨てられたという気持ちを抱いている時は黄金の時はやってこないという。安定した精神状態で孤独の時間をもつことが重要だという。これは、子どもに限ってのことではないかもしれないな。。。と思った。